驚異的な快投を続ける田中将大投手、奥様の里田まいさんにも注目
プロ野球・東北楽天のマーくんこと田中将大投手が、今季9月20日現在で開幕から負けなしの21連勝と、驚異的な快投を続けている。
この開幕21連勝は、1912年にアメリカ・メジャーリーグのループ・マーカード投手(ジャイアンツ)が記録した開幕19連勝という従来の世界記録を100年以上ぶりに更新する大偉業であり、同一シーズンでの連勝記録に関しても、1957年に故・稲尾和久氏(西鉄)が樹立した20連勝という日本記録を56年ぶりに塗り替えた。また、昨シーズンから計算すると、田中投手は25連勝ということになり、これも日本記録を更新中である。
そして、そんな田中投手が活躍すればするほど、彼の奥様であるタレント・里田まいさんの内助の功にも注目が集まるものだ。実際、すでに一部のメディアが里田さんのことをいわゆる"あげまん"と称して、持ち上げ始めている。
高い評価を受けている、里田さんの料理の腕前
中でも、特に高い評価を受けているのが、里田さんの料理の腕前だ。彼女は自身の公式ブログで田中家の夕食メニューをたびたび写真でアップしており、それが栄養バランスに優れているともっぱらの評判だ。アスリートの資本である肉体を管理するためには毎日の食生活が重要になってくるため、里田さんは必死に料理の勉強に励んだのだろう。
それを証拠に、里田さんは田中投手と結婚後の2012年4月にジュニア・アスリートフードマイスターという料理の資格を取得している。ジュニア・アスリートフードマイスターとは日本野菜ソムリエ協会がスポーツ選手のための食事学として創始した民間資格である。資格取得に必要な養成講座では、競技やトレーニングに合わせた食事の考え方や献立作りを学ぶことになっており、スポーツ選手の家族らが多く受講しているという。
結婚前の里田さんがいわゆるおバカタレントと呼ばれていたことを思うと、現在の彼女は大きなイメージチェンジを遂げたと言っていいだろう。田中将大投手という日本球界の宝を支えるためには、相当な責任とプレッシャーがあるはずだが、現在の彼女はその役割を見事に果たしているように見える。結婚後、あきらかにタレント活動を自粛し、あまりメディアに出てこなくなったことが、トップアスリートの妻としての覚悟のあらわれだ。
プロ野球の歴代の名選手には、多くの名物女房が存在
さて、この里田さん以外にも、プロ野球の歴代の名選手を思い起こすと、その背後に名物女房の影がしばしば見える。とりわけ、球史を代表する大打者である野村克也氏と落合博満氏のご両人には、それぞれ個性的でアクの強い奥様がおられることは周知の通りだろう。
サッチーこと野村沙知代夫人といい、また落合信子夫人といい、そのキャラクターが一筋縄ではいかないため、世間からの好き嫌いが分かれるところだろうが、どちらもクセ者で知られる夫の手綱を見事にコントロールしているところは圧巻だ。なにしろ、どちらの夫も球界の御大であり、もはや他人から叱られることなどめったにない地位にいる人物である。そんな彼らをまるで子供のように叱りつけ、時に励まし、時に褒めそやしながら操ることができるのは、長年の苦楽を共にした奥様しかいないはずだ。
大洋在籍当時のポンセ氏、ノーヒットやエラーの日は食卓にピザだけ
また、そんな奥様による夫のコントロール術という点では、1980年代に当時の大洋ホエールズ(現・横浜DeNA)に在籍したカルロス・ポンセ氏も忘れられない。彼の活躍の背景には、彼の奥様が編み出した見事な作戦があったのだ。
ポンセ氏といえば、来日一年目の1986年にいきなり打率.322、27本塁打という好成績を残し、二年目の87年に3割30本塁打の大台を突破すると、三年目も二年連続30本塁打以上を記録した、1980年代のセ・リーグを代表する外国人大砲の一人である。
これは余談だが、ポンセ氏はその実力もさることながら、子供たちに絶大な人気を誇っていた。それは豊かな口ヒゲをたくわえたポンセ氏の風貌が、当時の人気ゲームソフトであった『スーパーマリオブラザーズ』のキャラクターに似ていたからで、多くのちびっ子ファンから「マリオ」というニックネームで親しまれていたのだ。
また、ポンセ氏は性格も非常に紳士的で、チャーミングなところもあった。中でも、先述した奥様との家庭内でのエピソードは特に有名だ。
なんでも大洋在籍当時のポンセ氏の奥様は、夫が試合でノーヒットに終わったり、エラーをしたりした日は、罰として食卓にピザしか出さなかったという。しかし、そのかわりヒットを1本打つごとにメニューを一品増やすという御褒美も忘れず、猛打賞や本塁打を記録した日には、夫の大好物ばかりを並べた豪華な食事を用意したとか。要するに、ポンセ氏の奥様は夫の活躍を促すために、俗に言う"ニンジン作戦"を実行していたのだ。
そして、ポンセ氏はこれに応えるべく、グラウンドで奮闘した。何日もノーヒットが続けば、食事はピザばかりの日々になるのだから必死になって当然だろう。
こういったニンジン作戦は人間の奮起を促す方法として広く認知されており、ともすれば古典化された方法だ。しかし、たとえば一般家庭において、実際にこういうことを実行している夫婦は意外に少ないのではないか。なんらかの事情で夫の奮起を促したいと考えている妻にとっては、古典的なニンジン作戦も捨てたものではないのかもしれない。
<作者プロフィール>
山田隆道(やまだ たかみち)
小説家・エッセイスト。早稲田大学卒業。これまでの主な作品は「虎がにじんだ夕暮れ」「神童チェリー」「雑草女に敵なし!」「Simple Heart」など。中でも「雑草女に敵なし!」は漫画家・朝基まさしによってコミカライズもされた。また、作家活動以外では大のプロ野球ファン(特に阪神)としても知られており、「粘着! プロ野球むしかえしニュース」「阪神タイガース暗黒のダメ虎史」「野球バカは実はクレバー」などの野球関連本も執筆するほか、各種スポーツ番組のコメンテーターも務めている。
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