JR北海道はこのほど、運転士が乗務中に自動列車停止装置(ATS)を故意に壊した件について、事実関係を正式に発表した。

DD51形機関車に牽引された寝台特急「北斗星」

同社の発表によれば、事象が発生したのは今月7日。寝台特急「北斗星」(札幌駅17時12分発上野行)を札幌運転所から札幌駅へ移動させようとした際、運転士が重連機関車の2両目(DD51-1143)のATSのスイッチを切り忘れていたため、非常ブレーキが動作して非常停止した。その後、運転士は本来必要な報告をせずにATSのスイッチを切ったという。

非常停止を受けて札幌運転所の社員が点検を行った結果、異常がなかったことから、ATS誤動作と判断。前後の機関車を入れ替え、札幌駅を75分遅れで発車した。運転士は、非常ブレーキ動作の原因がATSの切り忘れであったことを車両故障に見せかけるため、機関車を入れ替える作業の間に、先頭にあった機関車(DD51-1100)の前側のATSスイッチを足で蹴り、さらに備え付けのハンマーで破壊。出区の際にも、乗務していた機関車(DD51-1143)の後ろ側のATSスイッチをハンマーで叩いて損壊したという。

当時、機関車には見習いとして2名の後輩運転士が同乗しており、運転士は同社の調査に対して、「後輩にミスを隠そうとした」などと話している。ATSの損壊行為は、後輩運転士が機関車を降りた後に行われたとのこと。

函館駅到着後、東室蘭駅で交代した別の運転士が、函館駅構内での入れ替え中にATSスイッチの破損を発見。JR北海道は当初、外部による破壊行為と判断し、8日付で北海道警に被害届を提出していた。その後の社内調査で運転士が自らの関与を認め始めたため、被害届は11日に取り下げられている。