米Intelは11日(現地時間)、Bay Trailの開発コード名で知られていた省電力SoC「Atom Z3000」シリーズを正式発表した。製造プロセスは22nm世代で、CPUコアは最大4コアのSilvermont(開発コード名)ベース。前世代のAtom Z2580(Clover Trail+)比で、3倍の性能、1/5の省電力性をうたっている。199ドルから500ドル程度までのWindows/Androidタブレット向けに提供する。
なお、Bay Trail SoCには、大きく3ラインのバリエーションが存在する。今回のAtom Z3000シリーズは、タブレット向けの「Bay Trail-T」(開発コード名)だ。ほか、低価格デスクトップ向けの「Bay Trail-D」(開発コード名)が「Pentium J2000」シリーズならびに「Cerelon J1000」シリーズとして。低価格モバイルノート向けの「Bay Trail-M」(開発コード名)が「Pentium N3000」シリーズならびに「Cerelon N2000」シリーズとして投入予定。タブレット向け以外はAtomブランドではなく、Pentium/Cerelonブランドとなる。
Atom Z3000シリーズは、最大で物理4コア/4スレッドのSilvermont世代のCPUコアや、グラフィックス機能、主要フォーマット対応のHWエンコーダ/デコーダ、メモリコントローラ等を内蔵するCPU部分に、ICHに相当するI/Oまわりの部分を統合したSoCであるBay Trailをベースとした、新世代のタブレット向けAtomだ。うちグラフィックスのGPUコア部分は、Ivy Bridgeと同じGen7(第7世代)のIntel HD Graphicsをベースとしており、DirectX 11/OpenGL ES 3.0をサポートする。ただ、このGPUのエクゼキューションユニット数は4基とされており、世代こそ同じだが下位のIvy Bridgeには届かない程度の性能を備えてるものと見られる。
H.264、VC1、MPEG2、MVC、VP8、MPEG-4/H.263、MJPEGをサポートするハードウェアデコーダを内蔵。ハードウェアエンコーダはH.264、MPEG2(こちらはソフトウェアとのハイブリッドアクセラレートと表現されているが)をサポート |
カメラ機能の概要。1080p/60fpsのムービーや、バーストショット等ひととおりの高機能を備えている |
「Intel Burst Technology 2.0」と呼ばれる、Intel Core製品のTurbo Boostの様なダイナミックなパフォーマンス制御も盛り込まれている。TDP/電力のパワーバジェットの範囲内で、動的に動作周波数をクロックアップし、性能を向上させるという機能だが、CPU/GPUに限らずCPU/GPU/Display/カメラといったSoC全体をコントロールするのが特徴で、例えば、カメラ処理用のイメージングのプロセッシングユニットが利用されていない状態で生まれた余剰パワーを、CPUのクロックアップにまわせるといった動作もする。
Atom Z3000シリーズのラインナップ一覧と、それぞれのモデルの主なスペックは以下の表の通り。
モデル | Z3770 | Z3770D | Z3740 | Z3740D | Z3680 | Z3680D |
---|---|---|---|---|---|---|
CPUコア数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2 | 2 |
L2キャッシュ | 2MB | 2MB | 2MB | 2MB | 1MB | 1MB |
最大CPUクロック | 2.40GHz | 2.40GHz | 1.80GHz | 1.80GHz | 2.0GHz | 2.0GHz |
対応メモリ | LPDDR3 1067 Dual Channel |
DDR3L-RS 1333 Single Channnel |
LPDDR3 1067 Dual Channel |
DDR3L-RS 1333 Single Channnel |
LPDDR3 1067 Dual Channel |
DDR3L-RS 1333 Single Channnel |
メモリ容量 | 最大4GB | 2GBのみ | 最大4GB | 2GBのみ | 1GBのみ | 1GBのみ |
対応最大ディスプレイ解像度 | 25x16 | 19x12 | 25x16 | 19x12 | 12x8 | 19x12 |