これまで同社が掲げてきた「ideas for life」というブランドスローガンは、2003年5月から約10年に渡って使用されてきたものだ。「life」に「お客様の暮らしに貢献する」という意味を込めていた点では、新ブランドスローガンが示す意図と同じである。そして「ideas」という言葉には、日本人が感じるような「思いつき」というイメージではなく、ギリシャ語のイデアに示されるように、概念やフィロソフィという意味を持たせた。

だが、ここでフォーカスしていたのはBtoCの事業領域だったといえよう。

2012年6月に津賀社長体制となって以降、パナソニックはBtoB事業に力を注ぐ姿勢を明確にしている。同社では、「『ideas for life』から『A Better Life, A Better World』への変更は、経営理念を短く表現した点では同じだが、lifeが示す『より良い暮らし』だけでなく、Worldという『より良い世界』を示す言葉を入れたことで、BtoCだけでなくBtoBに活動領域を広げたことを表現した」と説明する。

続けて、「住宅、社会、ビジネス、旅、自動車など多様な空間・領域で、様々なパートナーとお客様一人ひとりにとっての『より良い暮らし』を追求し、広げていくと共に、地球環境への貢献をはじめ、グローバルに『より良い世界』の実現に貢献していくという、BtoBとBtoCの両事業のイメージを表現したメッセージ」とする。

津賀社長体制になり、パナソニックはBtoB事業への注力姿勢を明確に示した

パナソニックは、2期連続で7,000億円を超える巨額な最終赤字を計上している。

同社では、「いまこそ、社員が同じ方向性をもって、力をあわせる必要がある。いまが新たなブランドスローガンを再設定する最高のタイミング。パナソニックがなにを目指し、どう変革するのかということを、社内、社外に対して発信し、関係者と方向性を共有するには、新たなブランドスローガンが必要だった」と説明する。

津賀社長は、パナソニックが目指す姿として、「ユニークな会社」という言葉を時折使う。今回のブランドスローガンについても、やはり「ユニークな会社」という表現が用いられている。

「私たちは、お客様に感動、共感いただけるパナソニックに変革していくことをグローバルに宣言し、世界に類のないユニークな会社として力強く復活することを目指します」と、今回のブランドスローガンをもとにして、復活宣言する。

まずは赤字事業の撲滅が鍵。ユニークな会社への取り組みは、その先の重要なテーマとなる。