若手社員の話題について行きたいけれど、聞こえて来るのは意味不明な言葉ばかり。時流に乗ってスマホを持ってみたものの、使いこなせている気がしない……。このコーナーでは、明日から話題の中心になりたいオジサンのために、スマホ・ソーシャル界隈でいま話題の用語を取り上げて解説します。今回は、いまさら聞けない人気アプリ「LINE」をおさらいします。
* * *
スマートフォンで大人気アプリとなっている「LINE」。まだLINEを使ったことがないという人でも、その名前は何度か聞いたことがあるのではないでしょうか? いまやLINEは、携帯メールに置き換わるコミュニケーションツールとなっており、若者の間では「じゃあ、また後でLINEするね」といった別れ際の挨拶も定番化しています。
LINEとは、無料で音声通話とテキストチャットができるスマートフォンアプリ。検索エンジンの「NAVER」やポータルサイトの「livedoor」を運営するLINEという会社が提供しています。サービスが開始されたのは2011年6月と約2年前ですが、国内外でユーザー数を拡大しており、2013年1月に全世界で1億ユーザー、その半年後の7月には2億ユーザーを突破するなど、勢いを加速させています。日本以外にも東南アジアや中東、スペイン、インド、南米でユーザー数が増えているとのこと。
それでは、これほどまでLINEが人気アプリとなった要因を探ってみましょう。日本でLINEがユーザーに認知されるきっかけとなったのは、初期に放映されたテレビCMだと言えます。しかし、CMでは無料通話のアピールに重点が置かれていましたが、実際にユーザーの心をつかんだのはテキストチャットにおける"スタンプ"機能だったようです。スタンプはテキストチャットで送信できる絵文字風のかわいらしい画像のことで、表情やキャラクターなどバリエーションが豊富なのが特長。無料スタンプを追加ダウンロードしたり、有料スタンプを購入することもでき、スタンプを使った感情表現を手軽に行うことができます。
また、LINEにユーザー登録した後でスマートフォンのアドレス帳データをアップロードすると、アドレス帳に登録している連絡先からLINEを使っている友達を見つけることができ、IDを教え合ったりする手間なく手軽にチャットや無料通話を開始できるのも特長のひとつ。さらに、チャット画面の見た目が従来の携帯メールとは異なり、以前の会話を一覧しながら短文でリアルタイムにコミュニケーションができるのもポイント。これらの特長とスマートフォンの普及が相まって、ユーザーの急拡大につながったと言えるでしょう。なお、現在ではスマートフォンだけでなく携帯電話やパソコンでもLINEを利用することができます。
テキストチャットや音声通話が無料でできるスマートフォンアプリは、LINEが登場する以前からも存在していて、北米などで人気の「WhatsApp Messenger」、韓国を中心に人気があり国内ではYahoo! JAPANと提携している「カカオトーク」、無料通話アプリの先駆けである「Viber」などが知られています。また、中国tencentが提供する「WeChat」は、中国の莫大な人口を背景に全世界のユーザー数が4億人超と、LINEを上回る勢いで急拡大しています。国内では、DeNAが2012年10月に「comm」でこのジャンルに参入しており、いまスマートフォンアプリでもっとも競争の激しいジャンルとなっているのが無料通話・チャットアプリなのです。
そんな注目の集まるLINEは、無料通話・チャットアプリをベースにさまざまなサービスを展開しています。カメラアプリの「LINE camera」やパズルゲームの「LINE POP」など、LINEブランドのスマートフォンアプリを数多く提供し、これらのアプリも人気となっています。さらに、LINEはプロモーションツールとしても活用されており、大手企業や芸能人が"公式アカウント"を開設し、登録しているユーザーに向けて情報発信を行っています。また、中小企業・店舗などが情報発信を行える"LINE@"というサービスも提供されています。なお、ユーザー数が増えることで懸念されるのが、犯罪などに悪用されることですが、LINEでは携帯キャリアとの協力により、ユーザーの年齢確認や機能制限といった青少年保護の取り組みを進めており、こちらも注目しておきたいところです。
LINEブランドのカメラアプリやゲームアプリも提供されていて、スコアをLINEで投稿できるなどの連携機能も備えている |
企業や芸能人が開設する"公式アカウント"。アカウントを"友だち"に登録することで最新情報を受信できる |
今後、ますます目が離せないLINE。競合ひしめく無料通話・チャットアプリですが、これらのアプリで重要なのは、自分の友達が使っているかどうか。その点、国内市場では圧倒的な人気を誇るLINEは盤石だと言えるでしょう。まだLINEを使ったことがない人も、この機会に始めてみてはいかがでしょうか。
さっそく、話題のワードを使ってみよう!
上司 「今日からホウ・レン・ソウには、LINEを使うように!」
部下 「プライベートと区別したいので、メールでお願いします」
…… 話題の中心になるための道のりは続く。
■ 株式会社ライターズハイ
鈴木友博・日沼諭史・藤縄優佑
2009年3月設立。スマートフォン、携帯電話、PCなどIT分野を中心に、おもにオンラインメディアでの記事執筆を手がけるライター集団。記事執筆のほかに、ソーシャルゲームへのシナリオ提供やアプリ制作なども展開する。近著に「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典 2013年版」(技術評論社)、「ポケット百科WIDE Xperia Tablet Z 知りたいことがズバッとわかる本」(共著・翔泳社)がある。