シャープは9月5日、冷蔵庫の新製品発表会を開催した。面板に強化ガラスを採用したプレミアムモデルなど6機種を9月20日から順次発売する。

新製品で新たに採用された注目機能は、業界初となる「対震ロック」の搭載。本体ドアの上部2カ所に、地震などの揺れを感知し、自動的に冷蔵室ドアをロックして中身が外に飛び出すのを防ぐというものだ。

特許出願中の「対震ロック」。写真右側にあたる棒状のものがレバーで、揺れを検知すると下に降りて、ドア上部の窪みに引っかかりロックを掛ける

冷蔵庫の耐震仕様では、これまでにも転倒防止ベルトを別売で用意していたが、高まる大地震への不安を解消するため、より安全性を強化したいと考え出されたという。中越地震相当の揺れを想定した同社の実験によると、特にフレンチドア(観音開き)タイプの冷蔵庫はドアが全開して中身が外に飛び出してしまう。それだけでなく、ドアポケットにはペットボトルなど重量のあるものが収納されているため、中身が飛び出して冷蔵庫全体の重心が傾き、本体が転倒する危険も高いと同社では説明する。

ドア上部に装備された対震ロック。左右2カ所に取り付けられている

これに対して、新たに考案された機構が「対震ロック」。本体ドアの上部に取り付けられており、揺れを感知すると先端部のレバーが下りる。そしてこれが、ドア上部の窪みに引っかかるフックとなって、ドアが開かなくなる仕組みだ。レバーは揺れが収まるともとに戻り、ロックが解除される。簡単な仕組みではあるが、同様の機構を採用した冷蔵庫はこれまでになく、特許を出願中とのことだ。

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冷蔵庫本体が揺れ、対震ロックのレバーが下りる様子(再生時間約9秒、ファイルサイズ3.11MB)
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地震の揺れを再現したデモ。対震ロックが付いていない同社の以前の機種で実験した様子(再生時間約9秒、ファイルサイズ3.22MB)
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対震ロックを装備した新製品で、地震の揺れを再現し、ドアが開かない様子を実証(再生時間約10秒、ファイルサイズ3.49MB)

その他、省エネ性能をさらに強化。外出検知センサー、製氷コントロールセンサー、ダブル除霜センサーなどの各種センサーをはじめ、スリープ制御、コンプレッサー低速回転制御など各種制御技術を合計25項目組み合わせた「節電25」モードを搭載した。貯氷量までもを検知し、電力を多く消費する製氷運転を一時停止させるなど、細かな制御によって最少で待機電力相当にまで抑えることができるといい、通常運転に比べ最大約25%の節電が行えるという。

最大25%の節電を実現した25項目の省エネ技術の一覧

シャープ健康・環境システム事業本部副部長の大塚尚孝氏

シャープ健康・環境システム事業本部副部長の大塚尚孝氏によると、年々進化する省エネ性能により、大型モデルの需要がここ数年で増加傾向にあるといい、電気料金の値上げをはじめ、家計に厳しい環境変化に直面し、消費者の間で節電・節約が一層定着した中、これに応えるかたちで「ムダ使いの徹底排除を目指した」としている。

また、面板に強化ガラスを採用し「プレミアムモデル」と位置付けている上位2機種には、「ココロエンジン」を搭載。2012年に同社が発売したロボット掃除機「COCOROBO(ココロボ)」で初めて搭載された、音声認識と会話機能を持つ人工知能のひとつだが、オーブンレンジや空気清浄機に付加されたのに続いて採用されたかたちだ。具体的には、センサーと連動して節電をアシストするメッセージを発する他、「給水タンクの状態を確認してね」「ドアが開いています」「賞味期限の近い食材はありませんか?」といった使い方や実用的なメッセージや、「いつもお疲れ様です」といった気配り系の言葉など約100種類のメッセージを音声で発信する。

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ココロエンジンによる音声メッセージの一例(再生時間約29秒、ファイルサイズ10.2MB)

商品のラインナップは、強化ガラス面板と野菜室とチルド室にステンレスを採用したプレミアムモデルが、SJ-GF60Y(601L)、SJ-GF50Y(501L)の2機種。推定市場価格はそれぞれ36万円前後と31万円前後。鋼板仕様のSJ-XF50Y(501L)が26万円前後、SJ-XF47Y(465L)が25万円前後、SJ-XF44Y(440L)が24万円前後。いずれもセンターで観音開きになるフレンチドアタイプ。その他ドアが両側から開くタイプのSJ-XW44Y(440L)が23万円前後。両開きタイプのドアは、構造上、揺れてもドアが開きにくいため、対震ロックは採用していないという。

新製品の外観一覧。プレミアムモデルの2機種は、クリスタルホワイトに加え、グラデーションレッドが追加になった。他はいずれもピンクベージュとプレミアブラウンの2色展開

いずれのモデルもシャープ独自のイオン発生機能「プラズマクラスター」を搭載。庫内にプラズマクラスターイオンを放出し、浮遊カビ菌や食品表面の付着菌を除菌し、食材の鮮度を保つ効果があるという。また、ドアを閉めた直後に集中的にプラズマクラスターイオンを放出し、人工知能によりドアの開閉が多い時間帯や台所の室温を分析し、自動的にイオンの放出時間を1.5倍に延長し、雑菌の繁殖を防ぐ「プラズマクラスター見守り運転」機能を新機種から新たに追加している。