日本銀行は5日、金融政策決定会合を開催し、当面の金融市場調節方針を決定した。景気判断について、前月の「緩やかに回復しつつある」から「緩やかに回復している」に上方修正した。上方修正は2カ月ぶり。

資金供給量(マネタリーベース)を年間60兆~70兆円増やす金融政策「量的・質的金融緩和」の維持についても、政策委員の全員一致で決定した。

経済の先行きについては、「緩やかな回復を続けていくとみられる」と判断。消費者物価の前年比については、「プラス幅を次第に拡大していくとみられる」とした。また、予想物価上昇率については、「全体として上昇しているとみられる」との考えを示した。

海外経済については、「一部に緩慢な動きもみられているが、全体としては徐々に持ち直しに向かっている」と表現。輸出については、前月の「持ち直している」から「持ち直し傾向にある」に修正した。

設備投資については、企業収益の改善を反映して、前月の「持ち直しに向かう動きもみられている」から「持ち直しつつある」に上方修正。公共投資は増加を続けており、住宅投資は「持ち直しが明確になっている」とした。個人消費については、前月同様「引き続き底堅く推移している」と表現。これらの内外需要を反映して、鉱工業生産は「緩やかに増加している」と判断した。

一方、リスク要因として、欧州債務問題の今後の展開、新興国・資源国経済の動向、米国経済の回復ペースなどを挙げ、「日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きい」と分析している。