伊藤忠は2日、内閣府が9日に発表する2013年4~6月期の実質GDP成長率について、8月の速報値から年率3.9%増へ大幅に上方修正される見込みであると発表した。これは、財務省が同日に発表した同年4~6月期の法人企業統計において、設備投資が改善したため。
内閣府の速報値では、実質GDP成長率は前期比0.6%増、年率2.6%増と発表されていたが、伊藤忠は、2次速報値では前期比1.0%増、年率3.9%増に上方修正されると予測。また、法人企業統計やその他のデータの反映により、設備投資は前期比0.1%減から同1.1%増へ、在庫投資の寄与度は同0.3%(Pt)減から同0.1%(Pt)減へ、公共投資は同1.8%増から同3.4%増へ上方修正されると見込んでいる。
速報値において4~6月期の成長率は、在庫投資の前期比0.3%(Pt)減などのマイナス寄与により押し下げられたが、同社は「内外需ともに拡大基調にある日本経済において、大幅な在庫投資圧縮は違和感のある内容だった」と指摘。2次速報値では、基礎統計が出揃い、そのような不整合が解消すると見ている。また、設備投資も小幅ながらプラスに転じたため、「機械受注などの関連統計と整合的になる見込み」としている。
同社はこれらを踏まえ、「少なくとも、GDP動向は、政府が課した基準に照らし消費税率引き上げの判断を支持するものと考えられる」と述べている。
一方、景気判断については、4~6月期GDPは大幅な上方修正が予想されるものの、「景気判断や成長率見通しに大幅な修正を迫るものではない」と分析。在庫投資の上方修正は8月の速報時点から予想されていたほか、設備投資の持ち直しや昨年度補正予算の執行による公共投資の増加も「シナリオの範囲内」と説明している。
今後については、新興国経済の成長鈍化など外需動向に不安はあるが、「内需の増勢に支えられ、2013年度中の日本経済は高めの成長を維持する」と予測。昨年度補正予算に盛り込まれた公共工事の執行により、7~9月期以降も公共投資の増加が見込まれるほか、消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、住宅投資も大幅に増加すると予想している。また、個人消費についても、7~9月期は伸びが若干鈍るものの、堅調に推移する可能性が高いという。
なお、7~9月期の実質GDP成長率については、7月の月次データが2013年前半の高成長の反動から、経済回復の勢いがやや鈍化していることを示しているため、年率2%増へ下落する可能性が高いとしている。