俳優の渡辺謙、佐藤浩市、柄本明ら総勢11人が2日、東京国際フォーラムで行われた映画『許されざる者』(9月13日公開)のジャパンプレミアに出席した。
同作は、クリント・イーストウッドが監督と主演を務めた映画のリメイク作品で、舞台は1880年の北海道。釜田十兵衛(渡辺謙)は、幕府軍の残党でかつては"人斬り十兵衛"と恐れられていたが、妻亡き後、「2度と人は殺さない」という誓いのもと、2人の子どもと極貧生活を送っていた。ある日、昔の仲間である馬場金吾(柄本明)から、女郎(忽那汐里)の顔を切り刻んだ男に賞金が掛かっている話を持ちかけられ、十兵衛は子どもたちのためにと再び剣を取る。
上映を前に会場左右の扉から佐藤浩市と柄本明、2階席から渡辺謙、ステージ下からせりあがってきたのは柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、國村隼、滝藤賢一、小澤征悦、三浦貴大。そして、最後は1階席の奥から本作でメガホンを取った李相日監督が現れると、2階席から降りてきた渡辺が、ステージまでエスコートした。一連の登場演出は、観客の近くであいさつがしたいという渡辺たっての希望で行われた。
観客の声援に応えながら登壇した渡辺は、「今日は本当にありがとうございます」と感謝の言葉を述べ、「ここにいるメンバーと多くのキャスト、スタッフ、そして李相日の魂を込めて作った映画です」とあいさつ。『硫黄島からの手紙』(2006年)の撮影時、イーストウッド監督からオリジナル版の思い出を聞いたことに触れ、「『こんな暗い映画を一生懸命撮っているけど、誰が見てくれるんだろうかと思いながら毎日やっていた』とそんな風に言ってくれたんです。毎日迷いながら、悩みながら撮っていたんだというのが分かって、ある意味とてもうれしく、深く感動しました」と振り返った。
また、佐藤が「バイオレンスな男をやっただけでは、李相日という監督は決して許してくれないだろうと」、柄本が「李監督とは3本目ですが…(演出は)本当にしつこいです(笑)」、滝藤が「今日も監督に負けた、許されざる者にまた負けたと思っていた」と語るなど、李監督の演出に話題が集まる。それを受けて李監督は「よくしつこいとか粘り強いとか言われますが、僕は褒め言葉だと思っています」と語り、「僕にとってはエンドロールが一番の見どころだと思っています。キャスト、すべてのスタッフの血と汗と涙でできた映画です」と賞賛の言葉を送った。