複数の海外メディアの報道によれば、台湾HTCのデザイナーや研究開発部門ディレクターなど上級幹部らがスパイ容疑で次々と逮捕され、そのうち2名については現在も拘留が続いているという。架空発注による資金の横流しのほか、まだ未発売の「HTC One Max」ならびに、同製品に搭載される新UI「Sense 6.0」のデータの外部送信容疑も疑われており、苦戦中の台湾スマートフォンメーカーにとって大きな打撃となりそうだ。

同件はEngadgetなどが報じている。それによれば、現地時間の8月31日に詐欺行為ならびに秘密情報漏洩の疑いで台湾捜査局による調査が入り、同社幹部複数名が逮捕された。少なくとも5名の関係者が逮捕され、1人は製品デザイン担当副社長のThomas Chien氏、もう1人は研究開発部門ディレクターのWu Chien-Hung氏、そしてデザインチームのシニアマネージャであるJustin Huang氏だという。Chien氏とWu氏の2名は現在も拘留が続いているが、残りの逮捕者については保釈金を払うことで釈放されている。

Wall Street Journalによれば、現地時間の30日にオフィスの家宅捜索が行われ、31日に逮捕状が出され上記幹部らの拘留が行われたという。8月に入り、HTCから該当する幹部らに対する調査依頼が捜査当局に対して出されており、その過程での逮捕となったようだ。そして今後4ヶ月の調査を継続し、実際に逮捕された幹部らに対して訴訟を起こすのか判断していくという。なお、先ほど名前の挙げられた3人の幹部は「Xiaoyu」の名称でデザイン会社を設立して間もなく独立する予定となっており、その直前での逮捕という形となった。

Engadgetによれば、Chien氏が9月での発表が噂されるOne Maxの情報ならびに、そこに搭載されるSense 6.0関連ファイルのダウンロードを密かに行い、外部関係者に送信していた可能性があるという。また、HTC Oneシリーズのアルミシャーシのデザインにおいて、架空発注で外部の関係会社に委託したと見せかけ、33万4000米ドルもの費用を会社に請求し、3人で山分けを行っていた可能性も指摘されている。またXiaoyuは中国本土向けの製品デザインを手がける会社として活動することを計画していたこともあり、ライバル他社への産業スパイ疑惑も出ている。詳細は今後調査の中で明らかになるとみられるが、Oneシリーズで今年挽回を考えていたHTCにとって大きな痛手となるのは確実だろう。

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