東京電力は26日、福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)で汚染水に関するトラブルが相次いでいる問題で、新たに廣瀬直己社長を本部長とする「汚染水・タンク対策本部」を設置すると発表した。
対策本部では、タンク管理の抜本的な強化を図るとともに、汚染水の港湾への流出防止や抑制対策が後手に回る状況を解消し、解析・リスク管理の強化ならびに中長期を含めた対策を行う。また、全社的リソースの投入に加え、国内外の知見、提案、ノウハウを積極的に導入するとしている。
副本部長は山口博執行役副社長、相澤善吾執行役副社長、姉川尚史常務執行役の3名が務め、このうち、相澤副社長は福島第一原発に常駐して直接指揮を執る。このほか、事務局長は松本純原子力・立地本部(福島第一原発対策担当)、事務局長代理は梅崎邦男建設部長が担当する。
対策本部の下、福島第一原発に「機動力強化チーム」を新設するとともに、「タンク対策・運用」の強化・向上を目的とした4チームを設置。「機動力強化チーム」では、横串機能の強化および汚染水・タンク問題以外も含めたトラブル対応の強化を図る。「タンク対策・運用」4チームは、パトロールや水位計設置などの運用強化、タンク・堰などの信頼性向上、タンクのリスク管理や建設、高濃度汚染水の処理の迅速化などを実施する。
本店内には、原子力部門に加え、土木・建築・環境など各部門から人材を集め、「現状把握・解析・リスク管理」4チームと、「汚染水対策立案・検証」4チームを設置。「現状把握・解析・リスク管理」4チームは、地下水の調査分析、地下水・海水中の放射性物質の挙動の調査分析・評価、汚染源特定、汚染水全体のリスク管理などを行う。「汚染水対策立案・検証」4チームは、水ガラスやウェルポイントなど喫緊の対策の立案・実行、地下水バイパス・サブドレン・凍土壁などの計画・実行、対策の効果確認、長期対策の検討などに取り組む。
国内からゼネコン、プラント会社などからの技術者、国外から廃炉技術等に精通した専門家を招聘し、対策本部や各チームへの指導・助言ならびに社長への諮問・報告を実施する。また、プロジェクトチームを統括する「プロジェクト管理リーダー」に、プロジェクトマネジメントに精通したプラントメーカーなどの社外人材を登用するという。
さらに「連絡調整・広報」2チームを設置し、本店と福島第一原発との情報共有、連携を強化するほか、官庁・行政などへの連絡・調整および海外への情報発信を行うとしている。