公開初日を迎えたアニメーション作品『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 そして艦は行く』の初日舞台あいさつが24日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、古代進役の小野大輔、島大介役の鈴村健一、出渕裕総監督の3人が登壇した。

前列左より、小野大輔、出渕裕総監督、鈴村健一

出渕総監督は「一番はじめのスタートから約5年かかって完結を迎えました。当初はもっと早くに劇場公開なりテレビ放映なりを行う予定だったのですが、いろいろと波あり嵐ありと足止めされることもあって、5年近い航海になりました。感無量というと簡単に聞こえてしまうかと思いますが、ほかにどう言い表していいのかわからず、いまの心境を表すのは感無量ということでお願いします」と、この5年を振り返った。

また、出渕総監督は「1作目のオリジナルの『ヤマト』をやれるということ、そのものがうれしい。自分もそうですけど、自分たちの世代は『ヤマト』を見て、この業界に入ってしまった人はたくさんいるので。再構築した『ヤマト』は、皆さんそれぞれの持っているイメージがあると思いますが、私個人の中ではパーフェクトです」と語り、航海を終えた『宇宙戦艦ヤマト2199』に確かな手応えを感じているようだった。

アフレコが始まって完結までに1年半年の月日がかかった本シリーズだが、主人公の古代を務めた小野は「同業の先輩からのプレッシャーが半端ではなく『古代はお前かぁ、がんばれよ』と何人の方に言っていただいたかわからないほどです。同業の役者以外にも音響監督さんから『お前か、大丈夫か』と声をかけられました。決まった時もプレッシャーを感じましたが、決まった後、プレッシャーはさらに積もっていきました」と古代という役柄の重さについて、並々ならぬプレッシャーがあったこと改めて語った。そして「古代という役が自分に落ちてきたのは、雪を『森くん』から『雪』と呼んだ時からです」と小野が話すと、出渕総監督は「古代にいつ雪と呼ばせるかは計算してました」と綿密に計画が立てていたことが明かす。また小野は、最終回のアフレコを迎える前日に、古代をどう演じるか考えこんでしまい、一睡もできずに徹夜のままアフレコに臨んでいたエピソードも語った。

一方、古代の親友・島を演じた鈴村は「島は本当に女運がなくて、全然誰も寄ってきてくれませんでした。ヤマト史上初の水着回もあったのに、古代と2人で見ているだけで、さみしいなぁと(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。完成した映像を観て「イスカンダルから帰るときに、全員敬礼しているんですが、島だけ当然なんですが、座っているんですよ。どんな時でもヤマトを動かしているのは彼なんだと思って、はじめの頃のチャラい感じがなくなり大人になったんだなと感じました」と、島の成長をひしひしと感じ取っていた。

最終章を迎えた心境を改めて聞かれた小野は「沖田さんの言葉を借りますけど、『ありがとう』です。いろいろな想いがあるのですが、表現できなくて……観てくださった方、携わったスタッフのみなさんに、ありがとう、と」と感極まった様子を見せた。そして鈴村は「島的には、次の作品に進まないと色恋沙汰がないので、ここで旅を終わらせたくありません。また次回、お会いしましょう」と、早くも次回作へ臨む心境を述べて客席からの満願の拍手を受けるも、出渕総監督から「島はテレサ狙いらしいですが、どうなるかは神のみぞ知る状態で、どうなるかはわかりません」と釘を刺される一幕も。

最後に出渕総監督が「テレビから入ったお客様もいらっしゃるかもしれませんが、見に来ていただいて楽しんでいただいているという実感を持てているのが、うれしいですし、やってよかったと思っています」と完結を迎えた心境を語り、『宇宙戦艦ヤマト2199』の長い航海は幕を下ろした。