高校ダンス部の頂点を決める「日本高校ダンス部選手権 Fit's DANCE STADIUM」の第6回大会が、19日、神奈川・パシフィコ横浜・国立大ホールで開催された。
同選手権は、高校のダンス部・ダンス同好会に所属する学生たちを対象としたダンスコンテストで、2008年に"高校ダンス部の目標となる大会をつくろう!"をいう想いのもとに始まり、今年で6回目を迎えるダンス部に所属する高校生にとっては、“甲子園”にあたるビッグイベント。 新学習指導要領により、保健体育でダンスが必修・選択科目となり2年目を迎えた今年は、昨年から41チーム増えた、全国283チームがエントリーし、ダンスパフォーマンスを行った。
今年の選手権も10名以上で構成するビッグクラスと2~9名で構成されるスモールクラスの2つのクラスが用意されており、ビッグクラスは予選にエントリーした183チームの中から選ばれた40チーム、スモールクラスは100チームから選ばれた21チームが、決勝大会のステージで日頃の練習の成果を披露して、ナンバー1の座を競った。
競技は、セッティング30秒、演技2分から2分30秒からなっており、プログラムには必ず60秒以上のユニゾン(合わせ)を取り込んで置く必要がある。審査基準は、衣装や笑顔などの表情といった要素のビジュアル、演出や振り付け、ショーマンシップ、動きのメリハリなどのエンターテイメント、ダンスの技術や全員の動き、バランスなどのテクニック、ダンスで使用する音源の選曲や構成の音楽の4つの要素に、審査員ごとの総合評価のスペシャリティーを加えた5つの要素からなっている。
審査委員には、一般社団法人ストリートダンス協会専務理事の栗原めぐみ氏や、のりんご☆氏、黄帝心仙人氏、KAORI氏、ISOPP氏といった現役ダンサーたちも名を連ねていた。競技に先立ち行われた開会式では出場する各チームの代表がプラカードを持ってステージに入場し、それぞれ趣向を凝らしたコメントで選手権にかける熱い想いを語った。
続いて昨年の優勝校、同志社香里高等学校(ビッグクラス)と大阪府立箕面高等学校(スモールクラス)の2校から優勝旗が返還、ビッグクラスのトップバッターとなる大阪府立茨木高等学校の面矢桃花さん の選手宣誓で選手権の幕はきっておろされた。今年の競技は、昨年のファイナルラウンド制から、1回だけの演技の評価がそのまま結果となる一発勝負へと変更されていた。
ビッグクラス40チーム、スモールクラス21チームの計61チームが持てる力を振り絞ったパフォーマンスの結果、ビッグクラスは、3年連続となる同志社香里高等学校(大阪)が優勝、準優勝は、大阪府立堺西高等学校(大阪)が獲得。スモールクラスは大阪府立箕面高等学校(大阪)が2連覇。準優勝は大阪市立汎愛高等学校(大阪)となった。また優秀賞にビッグクラスから大阪府立登美丘高等学校(大阪)、大阪府立今宮高等学校(大阪)、大阪府立箕面高等学校(大阪)横浜創英高等学校(神奈川)、スモールクラスから 京都府立山城高等学校(京都)、初芝立命館高等学校(大阪)が受賞。審査員特別賞には、川口市立川口高等学校(埼玉)と茂原北陵高等学校(千葉)、産経新聞賞に神奈川県立百合丘高等学校(神奈川)、ストリートダンス協会賞に桜丘高等学校(愛知)、LOTTE Fit's特別賞は優秀賞を受賞した横浜創英高等学校(神奈川)がダブル受賞した。
ビッグクラスで3連覇を達成した、同志社香里高等学校の三浦萌子さんは「最後まで呼ばれなかったので、緊張していましたがうれしいです」と充実した表情を見せ、「3連覇のプレッシャーのなか、作品を作り上げていく中で直前で意見が割れてしまったりしたのをまとめるのは大変でした」と3連覇という偉業への苦労も語った。後輩に向けては「プレッシャーがかかってくると思うけど、力みすぎずに自分たちの演技をしてもらえるように力をだしていってもらえればと思います」とエールを送った。
スモーククラスを征した大阪府立箕面高等学校の下川友梨さんは「まだ実感がないのですが、いままで支えてくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。」と応援をしてくれた仲間への感謝の言葉を述べた。練習について「今回、わたしたちの学校は3チーム編成となっていたため、先生に見てもらえる時間が限られていたために、自分たちで考えなければならないところがあったのが、しんどかったです」と苦労をにじませた。
審査員を務めたISOPP氏は出場者へ「嬉しい涙や悲しい涙が流れていると思いますが、涙がでるくらい一生懸命になれるものは宝物なので、大事にしてください。僕らは高校野球球児ではないので、砂を持って変えることはできませんが、この経験を持って帰ってください。賞を取れなくても、諦めない限りは負けていません。だからこれからも挑戦することを忘れないで、どんどんパワーアップしてください」とエールを送った。
黄帝心仙人氏 は、「みなさんすごく練習をしたと思います。結果を出せた人、出せなかった人がいると思います。僕は、1つだけ練習するということを続けてきた人間なので、合わせるとかアイソレーションを練習した結果、僕自身そこから立ち上がってきました。なので、みなさんも自分の得意なものに時間を割いて1つを極めてみてください」とアドバイスを送った。
審査員として感想を述べるISOPP氏 |
審査員の黄帝心仙人氏は、練習へのアドバイスの他に「周りへの感謝をしない奴は、ダンスはうまくならない」と述べた |
「個性的な作品が少なかった」と述べた栗原めぐみ氏。個性的な演出が来年の入賞の大きなポイントとなるかもしれない |
表彰式の最後に、栗原めぐみ氏より総評があり「とてもレベルの上がった大会だと思いますが、個性的な作品が少なかったかと思います。衣装、構成、振り付け、こんなのやりたいなと思ったら、そこに自分たちのスパイスを加えることを忘れないでください。そこが、来年の入賞へのポイントになると思います。また、地方予選から何度も言っていますが、踊れる体作りをしっかりとしてほしいです。筋力トレーニングもですが、ユニゾンをする上で、呼吸を合わせることがとても大事です。意識して練習をしてみてください。」と話して、今年の高校生ダンサーたちの暑い夏は幕を閉じた。
また、表彰式の前には、ゲストダンサーのFOUNDNATIONとBeat Buddy Boiといったトップダンスチームによるステージ・パフォーマンスも披露された。