生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、30~40代の男性会社員300名を対象に、「仕事」に関する意識・実態調査を実施。その結果、男性会社員の3人に1人が、仕事が原因で気持ちが沈みやすくなる"仕事うつ"を自覚しているほか、"仕事うつ"の男性ほど、仕事中に満足のいく「休憩」がとれていないという実態が明らかになった。
■30~40代サラリーマンの3人に1人は"仕事うつ"
はじめに、30~40代のサラリーマンに「普段、仕事が忙しいと感じますか?」と聞いたところ、73%が「そう感じる」と回答。働き盛りの年代だけに、毎日を忙しく過ごしている人が多いようだ。しかし一方で、やりがいや労働時間などを考慮した「仕事満足度」を聞いたところ、仕事に対して「満足している」と答えた人は56%と約半数にとどまるなど、満足できている人と、そうでない人で「二極化」している様子が伺える。
そこで、仕事に対する意識についてさらに詳しく質問をしたところ、「仕事が楽しくないと感じることがある」という人は68%、「会社に行きたくないと思うことがある」という人は53%という結果に。また、「仕事に行き詰まりを感じることがある」と回答した男性も55%と半数以上にのぼり、30~40代のサラリーマンの多くが、仕事に対してマイナスの気持ちを抱えていることがわかった。さらに、「自分が"仕事うつ"だと感じることはありますか?」と聞くと、36%が「ある」と回答。3人に1人のサラリーマンが、自身が"仕事うつ"であると自覚しているようだ。
■休憩時間の過ごし方は「飲み物を飲む」が8割! 人気は「缶コーヒー」
続いて、仕事中の「休憩」事情について調査を行ったところ、昼食などの食事時間や生理的欲求によるトイレを除いた「仕事中にとる休憩の回数」は、「3回くらい」(27%)が最も多く、「休憩の合計時間」は平均で「36.1分」となった。
さらに「仕事中に休憩としておこなっていること」を複数回答で聞くと、「飲み物を飲む」(80%)が最も多く、次いで「インターネットをする」(60%)、「ガムやあめ、菓子などを食べる」(43%)と続き、「休憩中に飲む物」は「コーヒー」(57%)が最多。よく飲むコーヒーのタイプは「缶コーヒー」(49%)とほかを圧倒しており、頻度としては「週に3日以上」飲んでいる人が39%と約4割にのぼった。
■"仕事うつ"を回避している人ほど「十分な休憩」がとれている
「あなたは十分に休憩がとれていると思いますか?」という質問には、前述の"仕事うつ"の自覚の有無で、大きく差が出る結果に。前問で"仕事うつ"と感じることが「ある」と答えたグループで「十分に休憩がとれている」と回答した人は38%にとどまったのに対し、"仕事うつ"と感じることが「ない」と答えたグループにおいては68%と約7割にのぼった。
また、職場での「休憩満足度」についても差異が生じ、"仕事うつ"を自覚するグループで「(休憩に)満足している」と回答した人は40%、"仕事うつ"でないグループでは67%という結果。このことから、"仕事うつ"を回避している人ほど、十分な休憩をとっているということが伺える。
ちなみに、1日あたりの休憩時間としては、"仕事うつ"と回答した人の平均が「37.0分」、そうでない人の平均が「34.7分」であったことから、休憩時間の「長さ」よりも、むしろその「質」のほうが重要であると言えそうだ。
トレンド総研では、今回の調査結果から、仕事と休憩の関係性について、精神科医の名越康文先生にインタビューを実施。名越先生によると、仕事中のこまめな休憩は、仕事の能率を高めアイデアを湧きやすくさせるほか、うつ状態を回避・解消する上でも重要とのこと。また、休憩は「時間の長さ」よりも「質の高さ」がポイントであり、ちょっとした体操をしたり、缶コーヒーを飲んだりと、仕事中とは異なる刺激を与えることで、気分をしっかり切り替えることが大切だという。
今回の調査で多くのサラリーマンが飲んでいると回答した「缶コーヒー」も、香りが気持ちをリラックスさせてくれるほか、苦味や甘さなどの味覚が、気分の切り替えにつながるとのこと。ちなみに、「苦味」は味覚の中でも「過去を想起させる」味であるほか、コーヒーの場合は「苦味」の中に「甘味」もあるため、コーヒーは「あの時は辛かったけれども、がんばってよかった」という昔の記憶を思い起こさせ、自分の現在と過去をつなげてくれるものだとし、「自分の人生と、自分が好む味というのは必ずリンクしているのです。そのため、調査の通り、缶コーヒーを好んで飲む大人が多いのかもしれません」とまとめている。