マイナビは、2014年春卒業予定学生を対象とした、企業の採用状況と学生の就職活動状況、内定状況、今後の見通しをまとめた「2013年度就職戦線総括」を発表した。主な調査資料は「2014年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」、「2014年卒マイナビ大学生就職意識調査」、「2014年卒マイナビ大学生就職モニター調査」など。
企業は採用数増と質確保を目指し、日程を前倒しして活動する傾向に
同まとめによると、2014年卒の新卒採用における企業側の環境は、過去2、3年の新卒に対する採用意欲の回復傾向を受け、全体として採用数増を目指す状況となった。ただし、それぞれの業界によって、目標とする採用増の割合にはばらつきが見られる。
一方、企業側全体に共通してみられたのが、採用方針における「質重視」の傾向。"欲しい人材を積極的に採りにいく"という姿勢が一致しており、この目標に向かってインターンシップの開催や適性検査・WEBセミナーなどの採用手法を導入する企業がみられた。また、個別企業セミナーや適性検査、選考開始、内々定出し開始などのスケジュールも前倒しの傾向にあったという。
文理ともに採用数は増加傾向。文系はリーマンショック直前の状況に近づく
2014年卒の大卒採用予定数についてみたところ、文系の採用数を「増やす」と回答した企業は21.3%で、「減らす」と回答した企業の7.3%を上回っている。また、理系の採用数でも同様に、「増やす」と回答した企業が23.8%、「減らす」が6.2%となった。
「増やす」と回答した企業の割合を前年調査と比較すると、文系で前年比4.2pt増、理系で前年比4.7pt増。いずれも前年を上回っており、文系では4年連続の増加となるなど、リーマンショック直前の状況に近づいている。前年比でみると更に増加傾向が強く、上場企業に比べて非上場企業の、製造業に比べて非製造業の採用予定数が増加傾向にある。
企業が選考時に重視する学生の能力は"主体性"と"実行力"
経済産業省が提唱する「社会人基礎力」のうち、企業が選考時に重視する能力を聞いたところ、全体で最も重視する割合が高かったのは「主体性(85.7%)」で、「実行力(65.5%)」がこれに続いている。
業界別に分析し、各業界で全体よりも評価する割合が高い能力を導きだしたところ、金融では「規律性(+20.0%)」、「発信力(+12.7%)」、「傾聴力(+13.1%)」、「ストレスコントロール力(+11.5%)」、マスコミでは「創造力(+ 24.3%)」、「発信力(+11.4%)」、「課題発見力(+8.4%)」などが高い傾向がみられた。
さらに、ソフトウエア・通信では「ストレスコントロール力(+8.6%)」、「課題発見力(+7.7%)」「計画力(+6.5%)」。小売では「傾聴力(+7.9%)」「課題発見力(+7.5%)」「働きかけ力(+6.1%)」、医療・福祉では「傾聴力(+19.7%)」「規律性(+14.8%)」「柔軟性(+12.1%)」が高くなっている。