帝国データバンクはこのほど、大学発ベンチャー企業の実態調査結果を発表した。これは、同社データベースから大学発ベンチャー企業を抽出し、2012年(2012年1月~2012年12月期)の売上高が判明した536社について、設立時期、業種、所在地、業績動向などを分析したもの。
大学発ベンチャー企業の設立時期は2003年がピーク
まず、大学発ベンチャー企業の設立時期を見ると、大学等技術移転促進法(TLO法)が施行された1998年以降増え始め、小泉政権下で実施された「大学発ベンチャー1000社計画」の2003年に最多となった。それ以後は徐々に減少し、2011年ではピーク時の1/5程度になっている。
業種別に見ると、サービス業の258社が最も多く、構成比では48.1%と全体の約半数を占めた。その他、様々な分野で大学との連携が見られた製造業(190社)や、卸売業(71社)が後に続く。また業種を問わず、医療機器や医薬品に関わる企業が多く、大学での研究と親和性が高い分野に集中している。
2012年の損益状況、55%が黒字を計上
2012年の売上高は、「1億円未満」の企業が360社(構成比 67.2%)。そのうち5,000万円に達していない企業は251社と半数近くで、中小零細規模の大学発ベンチャーが大半を占めているようだ。2012年の損益状況が判明している304社について分析したところ、黒字企業が166社(構成比54.6%)と過半数を占めた。
全体として黒字企業が多いのは、2002年度から実施された「大学発ベンチャー1000社計画」を機に設立された企業群が、利益を上げていることが要因と考えられる。
なお、今回調査した大学発ベンチャー企業のうちで、株式上場を果たしている企業は15社。ミドリムシの屋外大量培養に成功し、機能性食品など様々な活用法を研究しているユーグレナ(マザーズ)、スマートフォンなどの手ブレ補正に採用されている画像処理ソフトウェア開発業者であるモルフォ(マザーズ)などである。