電気料金1割値上げ! 「家計のために節電しなきゃ」と思いつつも、猛暑続きでなかなか実行できないことも多いのでは? でも気をつけるべきポイントを知り、コスト(お金の額)で計算してみると、意外と実行できるものです(※)。
夏の節電と言えば、一番に気になるのはエアコンです。では、どんなことに気をつければいのでしょうか?
約670円の節約、室温は28℃を目安に
エアコンは冷房設定温度を1℃上げるだけで、年間約670円の節約になります。ただし、この数字は外気温度31℃の時、エアコン(2.2KW)の冷房設定温度を27℃から28℃にし、1日9時間使った場合です。その他のエアコンの節電対策としては、以下が挙げられます。
すだれやレースカーテンで日差しをカット
冷房は室温を設定温度まで下げる時に、一番多くの電力を消費します。ゆえに窓にすだれをつけたりレースのカーテンなど、室温が高くならないように工夫すれば、消費電力を少なくすることができます。外出時には昼間でもカーテンを閉めておくことも有効です。
室外機の周りに物を置かない
室外機の周りに物があると、空気の流れが遮られるため空調効率が低下します。室外機の周辺の雑草を抜いたり、物を整理するなどして整理整頓を心がけましょう。
侮れない照明機具の消費電力量
「実はエアコンで電力を多く使うのは、冷房より暖房。だから基本的なことを守っていれば、夏場にエアコンに対してそう神経質になることはありません」と話してくれたのは、省エネルギーセンターの野尻雅人さん。「それよりも家計へ影響という意味では、白熱電球をLEDに替える方が効果的です」とも。
冷蔵庫に次いで、照明器具は年間消費電力量が2番目に高く、例えば白熱電球1個をLEDに取り替えるだけで、年間1,980円の節約になるそうです。確かに、「冷房設定温度を1℃下げて約670円の節約」と比べると、3倍の家計削減効果があります。それに家庭では、エアコンの台数よりは、電球の数の多いことの方が多いのではないでしょうか? 電球の取り替えで大幅な家計削減効果が期待できることは、覚えておいて損はありません。
では、年間を通じて消費電力の第1位を占める冷蔵庫対策はどんなものがあるのでしょうか?
約1,360円の節約、冷蔵庫は設定温度が大事
今度は冷蔵庫の対策を。冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」に変えるだけで、年間約1,360円の節約が可能です。食品が傷まないようチェックしながら、室内温度は適切に抑えましょう。その他の冷蔵庫の節電対策としては以下です。
熱いものはさましてから保存
カレーや麦茶など、温かいものをそのまま冷蔵庫に入れていませんか? 庫内の温度が上がり、冷やすのに余分なエネルギーが消費されるので注意しましょう。
物を詰め込みすぎない
冷蔵庫の中を整理することも節電には効果的。詰め込んだ場合と量を半分にした場合とでは、年間約960円の差になります。
家電の買い替えも検討
ここ数年で、冷蔵庫の省エネ性能は飛躍的に伸びています。実際、「冷蔵庫の省エネ性能の向上は、家電各社が大型機種を中心に“真空断熱材”を使うようになった影響が大きい」(日本経済新聞7月16日付)ということも言われています。
真空断熱材とは冷蔵庫内の冷気を逃がさないために使うもので、冷気が逃げなければ庫内の温度を低く保つための電気を節約できます。もし冷蔵庫を買い替えたら、どれくらいの節電効果が得られるのでしょうか? 環境省のサイト「しんきゅうさん」を使うと、買い替え後に節約できる電気代が計算できます。
現在、我が家で使っている冷蔵庫の製造年と、買い替えを検討している冷蔵庫の型番をインプットすると、年間約1万円も安くなる計算になりました。長い目で見れば、冷蔵庫が故障した場合は修理ではなく、買い替えも選択肢のひとつだと思いました。
エアコンも最近の上位機種には、いわゆる「人感センサー」が付いています。人感センサーとは、室内の人の位置や動きをセンサーで感知して、冷気の流れをコントロールする機能です。このように日々進化している家電の機能や内容をこまめにチェックすることも、ひとつの節約技ですね。
※データは省エネルギーセンターの実測値(年間)。居住地域・住宅などで変わる場合があります
筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)
1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。家事生活をブログ「家事マニア」にて毎週火曜日に更新中。