今回利用されているARは、山口市中心商店街のホームジページにも用意されている「Cafe Map」が全ての起点となっている。SATCH VIEWERを利用してホームページの下部に用意されているQRコードを写すと、ARコンテンツの一覧が表示される。体験したいコンテンツを選択し、対象となる画像にかざすことでARが表示される造りだ。
現在、AR作成ツールは、PCにソフトをインストールする形で提供されているが、将来的にはSaaS型での提供も視野に入れているという。また、現状はQRコードを写すというワンステップを踏んだARコンテンツの取得を行っているが、「今後は、一般的なARアプリと同様にコンテンツを選択することなく、かざすだけでAR表示ができるようにしていきたい」(KDDI・古谷氏)としている。
商店街に対する地元の想い
街づくり山口の宮野氏は、この取り組みを通して街の雰囲気が着実に変わりつつあると自信を見せる。
「以前はフィーチャーフォン向けにQRコードを利用していたが、スマートフォンのAR活用の方が反応は良い。カフェマップは全体で2、3万部を配布しており、今年度中に7万部は配りたいと考えている。ホームページへのアクセス数を見ても、Cafe Mapの効果は現れていて、今やスマートフォンからのアクセスが半分を占めるまでになった。この結果に満足するのではなく、今後はクーポン配信や、マーケティングデータ取得など、更なるICT活用を行っていきたい」
また、地域魅力発信サークル「SQUARE」に所属する山口大学の学生2人も、3年生の秋~4年生春という就職活動と重なる時期に地域活性化を取り組んだことが、自身の成長に繋がったと語る。
「大学の友達やサークルを通じてCafe Mapを配った時に、商店街にカフェがあると知らない学生が多かった。今も継続してマップを配っているが、『マップを見てカフェに行ったよ』と話してもらえることも多くなった。就活をしながら、マップを作成するのは大変だったけれど、面接で取り組みを話したところ『ARってなに?』とか『そのマップを見せてもらえる?』と話が続いて嬉しかった」
街づくり山口の宮野氏だけではなく、SQUAREもCafe Mapでやりたいことはまだまだあるようで「ブログやFacebookページとの連携や、ARでメニューが表示されるような取り組みもやってみたい」と話していた。
掲載されているカフェの受け止め方
最後に、山口市中心商店街の商店街で人気のカフェ「Cafeぷらり」に立ち寄らせていただいた。同店では、Cafe Mapが非常に多く持って行かれるといい、店長の志道(しじ)さんは「レジの近くに置いているので、かなりの頻度で持って行ってもらえる。春先に1000部いただいたが、もう1000部もらって置いている」と話した。
また、今後のCafe Mapに対する期待としては「山口にはカフェ文化がないので、Cafe Mapを機にこの文化が根付いて欲しい。また、カフェに限らず、商店街全体を盛り上げるために、カフェに絞らず全ての店舗を取り上げるのもいいのではないか」(志道さん)と語った。