作業効率化には「仲良くなる」のが一番
では、エンジニアとデザイナーが協力するプロジェクトで、作業を効率的に進めるにはどうすればよいのか。
このテーマに対して白石氏は、「デザイナーとエンジニアが仲良くなるのが一番」と答える。
「エンジニアでも未経験のアプリの開発では手戻りだらけ。例えば、最新のHTML5機能を使うならプロトタイピングから始めないといけない。普段からコーディングしている人間ですらそんな状況なのだから、デザイナーさんに初めからすべてを用意しろというのは正直無理な話。頻繁に情報共有して、足りない部分をお互いに埋め合いながら進める必要がある」(白石氏)
さらに、「関係が良好でしっかり情報共有できれば、良いものができてくる。逆に、嫌いと思うと、細かいことが伝えられなくなり、手戻りが次々と発生する。負のスパイラルに陥らないように心掛けないといけない」と経験談を語った。
エンジニアは話しかけられるとなぜ不機嫌になるのか?
最後に白石氏から、「デザイナーさんに聞きたいが、エンジニアが何を考えているのかわからなくてイライラすることが頻繁にあるのか」と質問。
これに対して秋葉氏は、「何を考えているのかというよりも、こちらの労力をわかってくれなくて嫌な想いをすることはよくある」と回答した。具体例として、納期が月曜日で本来は1週間かかる作業なのに金曜日の夜に依頼が来ることがあるとし、「工数を説明すればわかってもらえるのかもしれないが、その説明は大変。結果的に険悪になってしまう」といったエピソードを披露した。
また、会場からは、「エンジニアさんに話しかけると、いつも冷淡な扱いを受ける」といった意見が寄せられ、これには多くのデザイナーが同意した。
そうした意見に対して、エンジニア側からは、「コーディング作業は、脳内の短期メモリをたくさん使う。この変数にはどんな値が入っているだとか、全体としてはこういうアルゴリズムだからここではこういう処理が必要だとか、そういうものを覚えておかないとプログラムを書けない。話しかけられるとそれがクリアされてしまい、元の状態に戻すまでに時間がかかるので、不機嫌になるエンジニアは多い」と回答。
さらに、「個人で活動するプログラマーには、コーディング中は一切の連絡を断ち切る人も少なくない。緊急の話でなければ、"後で時間が空いたら声をかけてください"と、お願いするのがよい」と対策まで紹介され、悪気のない行為であることを強調すると同時に、恐縮しながらもデザイナーに対して理解を求める声があげられた。