最後は、ヒューマノイドロボットではないが、RTテクノロジーが利用されている2台を紹介。理工学術院 藤江正克教授(グローバルロボットアカデミア拠点リーダー兼任)の研究室所属で医療福祉ロボットの研究を行っている小林洋 准教授らが開発している、静脈への穿刺(注射針を刺すこと)をサポートする「穿刺支援ロボット」(画像16・動画8)と、手のふるえのあるヒトの使用を目的とした「ふるえ抑制ロボット」(画像17・動画9・10)だ。

穿刺支援ロボットは、静脈といっても頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈など太い重要な静脈で、動脈ほどではないが皮膚から深い位置(約10mm)にあるため、針を静脈内に留置することが困難だったり、定量的な穿刺条件が存在しなかったりと、なかなか難しいため、それを支援するというものである。

もう1つのふるえ抑制ロボットは、手がふるえてしまうために自分1人での飲食が困難なヒトのために開発されており、飲食をする際に最も重要なポイントであるヒジを固定してふるえを抑える一方で、動作意図の推定を行って動作追従することから、ふるえを抑えた状態できちんと腕を動かせるようになるというものだ。ふるえの抑制の度合いは、50~80%と、かなりの割合で低減できるそうである。

画像16。穿刺支援ロボット。大静脈に針を刺し、突き抜けないよう留置するのはかなりの技術を必要とするので、それを支援する
動画8。動物実験で、実際に穿刺支援ロボットが静脈に穿刺している様子。若干血などが映るのでご注意を(動画を撮影したもの)

画像17。ふるえ抑制ロボット。ヒジサポーター的な感じで装着し、前腕と上腕に固定して手のふるえを抑える仕組みだ

動画
動画9。筋電で操作する。また腕のふるえで誤作動しないようフィルタリングなどにも工夫がされている
動画10。実際にふるえのあるお年寄りに被験者となってもらって使った様子(動画を撮影したもの)

以上、駆け足だったが、WABOTからの連綿と続く早大のロボットたちの現役代表たちを紹介した。また近い内に早大のロボットたちを取材する予定なので、その内、系譜なども紹介したいと思う。ぜひ期待してお待ちいただきたい。