続いては、理工学術院 創造理工学部 総合機械工学科の菅野重樹 教授の研究室で2007年に開発された、人間共存ロボット「TWENDY-ONE」だ(画像10)(発表時の記事はこちら)。TWENDY-ONEは、家事や介護などヒトの生活環境の中での利用を目的に開発されており、両腕で34kgの物を持ち上げられるパワーと同時に器用さも併せ持ち(動画5)、さらにヒトと接触する可能性があることから、機械的な「受動柔軟性」が持たされている点が特徴の1つとなっている。つまり、関節が柔らかいというわけだ。
さらに、肩などのヒトと接触しやすい部分には一部分が軟らかい素材が使われており(画像11)、ちょっとやそっとぶつかってもショックが吸収される設計なので、ちょっとやそっと当たったぐらいでは痛い思いをしないで済むというわけだ。なお受動柔軟性は、関節に粘性要素のロータリーダンパーと弾性要素のトーションバーを組み込むことで実現している。
またハンド部(画像12)のセンサ数が多く、精密動作ができる点も特徴の1つ。合計241点の小型分布圧力センサ(7.5mm×7.5mmサイズが108点、4mm×4mmサイズが133点)が指の腹や手のひらなどに埋め込まれている(画像13)。親指以外の3指(ハンドは4本指)には指先に6軸力覚センサ、第1関節と指の付け根に受動関節機構+ポテンショメータが埋め込まれている。ヒトの指の形状を模して作られており、また軟らかい素材(赤い部分)で作られていることから、物をつかむなどの精密動作が得意だ。前身の機体である「Wendy」は、初めてロボットとして卵を割ってみせている。
スペックは以下の通りだ。
- 全高:1467mm/重量111kg
- 自由度:47(首3、手13×2、腕7×2、胴部4、台車全方向移動)