「宿命」と「運命」

こんな質問を受けたことがあります。

「母に出生時間を聞いたときに『あなたは9月9日が予定日だったけど縁起が悪いから7日に変えてもらったの。陣痛促進剤を使ったからするっと産まれたわ』と言われました。もしかして、自然分娩だったら宿命も変わっていたんでしょうか?」

答えは「イエス」です。

前回、「宿命」と「運命」は違うということを書きましたので、今回はもう少し詳しく書いてみたいと思います。

この二つは混同しやすいのですが、完全に違うものです。

宿命は、生まれた瞬間に決まる、変えることのできないあなたの人生のレールです。母親の胎内から出て、地球の気と触れ合った瞬間に決まるものと言われています(そのひとつが本命卦)。

これに対して運命は、自分の努力や風水の力を借りることによって、どんどん変えられるもの。ですから、「運勢」などとも言いますね。

中国の人は、とにかくこの運命を改善することに一生懸命です。

日本のように他力本願的な「開運」ではなく、自ら「改運」といって運命を変え、よりよい道を切り開こうとするのです。

宿命を鉄道の本線とするならば、運命はそこから分かれる支線でしょうか。

それが力強く伸びて行き、本線を凌駕することもあれば、結局本線に戻ってしまうこともあるでしょう。

また、本線に戻るならまだしも、脱線してしまうこともあるわけです。

まさに本人の改運次第、ということなんですね。

宿命さえ変えようとする?

また、運命どころか宿命をコントロールすることにも積極的と聞きます。

つまり、あらかじめ風水や四柱推命の先生に出産予定日前後の吉日を算定してもらい、ベストの日に出産調整してしまうのです。

現代の医学ではそれも十分可能ですからね。とにかくものすごい執念です。

また、新しい会社の登記の日に関しても、同じ考えをします。

つまり、会社という「法人」をまさに人とみなして、誕生日=登記日を決めるということです。それにより、宿命を最高なものに設定する! というわけです。

これは日本でも、会社を立ち上げるときに通常行う鑑定ですよね。

宿命に関しては、よく「料理で言えば素材」とも例えられますね。

それに対して、運命は「調理法」です。つまり、どんな素材でも、調理法次第でどんな料理にもなることができるということです。

たとえイワシでも、料理法を研究して、美味しい料理にしてしまう、もしくは一流の料理人を探してきて、一級品に仕立て上げるわけです(スミマセン、今ではイワシも高級魚ですよね)。

以上、宿命と運命のイメージ、そして中国人と日本人の「運」へのこだわりの違い、つかんでいただけたでしょうか?

<著者プロフィール>

高木芳紀(たかぎよしのり)

風水オフィスアドバイザー。1971年名古屋生まれ。金沢大学卒業後、商社に就職。繊維、IT、放送関連機器の部署にて営業職を経験後、同社にいた先輩の家業であるアスクル代理店の「株式会社つばめや」に転職。新規事業企画担当兼ウェブマスターとして、主にインターネットを活用したオフィスサプライ通販の独自路線を開拓中。その中でオフィスの効果的なレイアウト手法のひとつとして風水と出会い、「風水オフィスドットコム」を立ち上げる。新たなる癒しの時代、創造の時代のキーワードとして、企業のオフィス作りを支援し続けている。自らに課したテーマは「仕事とオフィスの最適化!」