米非営利団体のChina Labor Watchは現地29日、台湾のAppleのサプライヤーPegatronグループが労働者の権利を侵害しているとする調査報告書を公表した。同グループはAppleからの受注を増やしたものの、それは労働者の犠牲の上に成り立ったものであると報告した。

同調査報告書によると、同グループで86件におよぶ権利侵害があり、そのうちの36件については法令違反、50件については倫理的な違反をしているとしている。違反は15のカテゴリに分類され、雇用上の待遇における差別、女性に対する人権侵害、未成年者の労働、過剰労働、不十分な賃金、労働環境および住環境、衛生面および安全性、管理者による虐待などが該当するという。

また、Appleでは今年5月に、同社の99%のサプライヤーがAppleの定めた週60時間労働の規定を満たしたと公表したが、同報告書では、そもそも中国における49時間労働の規定に違反していると指摘。Pegatronグループの3工場では、週平均の労働時間が約66時間、67時間、69時間に達しており、調査対象の上海工場では、労働時間の過少申告を余儀なくされていたという。

同報告書は、今年3月から7月にかけてPegatronグループの3工場で実施した覆面調査によるもの。約200人におよぶ労働者にインタビューを実施したという。調査結果を踏まえて、China Labor WatchのLi Qiangエグゼクティブディレクターは、「Pegatron3工場の従業員はフォックスコンよりも劣悪な環境で労働に従事している」と述べている。