三井不動産と鹿島建設は29日、超大型制震装置TMD「D3SKY」を開発し、「新宿三井ビルディング」(東京都・新宿区)の屋上に設置すると発表した。施工は鹿島建設が実施する。8月中旬に着工し、2015年4月末の竣工を予定している。
同装置は、振り子式の「錘(おもり)」(300トン)を屋上に設置し、錘が建物の揺れと逆方向に振れることで建物の振動エネルギーを吸収し、地震の揺れを大幅に抑制するというもの。錘は6基(計1,800トン)使用する。併せて、低層階コア部に高性能オイルダンパーを48台設置し、屋上の装置と連動して地震の揺れを抑える。
これにより、長周期地震動による揺れを半分以下に減らし、揺れを早期に終わらせることが可能となるという。また、大型台風などの暴風時の揺れも大きく低減するほか、電気を使用しないため停電の影響を受けることはないとしている。
TMDとは、建物に減衰器(Damper)を介して錘(Mass)を取り付け、固有振動数を最適に調整(Tuned)することにより、振動を抑制する装置のこと。従来は超高層ビルの風揺れ対策に使われてきたが、三井不動産と鹿島建設は今回、TMDの技術を応用し、変形抑制オイルダンパーなどの新たな技術を導入することで、超高層ビルにおける制震装置として実用化した。
両社は制震装置の導入に当たり、一般居室階の窓際へオイルダンパーを設置する従来の手法も検討したものの、屋上に設置する手法は、眺望を阻害したり有効床面積を減らしたりすることがないほか、居室内工事も必要なくなるなど、テナントへの影響を大幅に低減することができるため、採用したと説明している。