海外投資についての連載第1回では、「投資するなら"今でしょ!"の理由」と題して、「自分の老後は自分で切り開く、そんな気概が今、われわれに求められているのかも知れない」と結びました。今回からは、具体的な海外投資の考え方について述べていきます。まず、世界最大の経済大国、米国への株式投資について考えてみましょう。

世界的な規模で事業展開している企業が数多く上場

米国の株式市場は今も日本の株式市場に大きな影響を与えています。日米の株式相場が真逆の方向に動くことは稀にありますが、日本の株式市場は前日のNY株式市場でどのような動きがあったのかを細かくチェックし、その動向に影響を受けた動きをしていると言っても過言ではありません。そのため、日本株の取引だけをしているのに、NY証券取引所やナスダックの動向をチェックしている人も少なくありません。

米国の株式市場には、世界的な規模で事業を展開している優良企業が数多く上場しています。NY証券取引所の時価総額は1,500兆円以上で世界最大です。今年6月末時点で時価総額上位10社は全て米国企業で占められています。エクソンモービル、アップル、グーグル、マイクロソフト、ウォルマートストアーズ、ジョンソン&ジョンソン、ジェネラル・エレクトリック、シェブロン、ウエルズファーゴ、IBMです。

米国の株式市場規模は日本(東京証券取引所)の数倍あり、世界最大です。米国株が大きく下げた場合、日本やその他の国の株式市場は大きな影響を受けます。NY証券取引所に上場している企業の株価が一日で5%下落した場合、70兆円以上の金融資産が消えてなくなることを意味します。米国の株式市場の動向は、世界の株式市場に非常に大きな影響を与えるということが想像できると思います。

何を基準にして投資すればいいのか?

米国株の特徴の1つとしてROE(リターン・オン・エクイティー)が重視される傾向があります。ROEとは当期利益を自己資本で割って算出する指標です。大まかに言えば、与えられた資本をどれだけ効率的に利用しているかという指標です。ROEが高い会社は、一般的に高い評価を受けます。ひとつの目安として、ROEが15%-20%で上昇傾向にある企業は優良企業と呼べるでしょう。このような企業は投資対象になりそうです。

また、一部の投資家は配当利回りを重視しています。配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標のことです。配当利回りは、一株当たりの年間配当金を、現在の株価で割って求めることができます。たとえば、現在株価が100ドルで、配当金が年2ドルであった場合、配当利回りは2%(2ドル÷100ドル)となります。株価が下落すると、配当利回りは上昇します。

配当利回りを重視している投資家は、配当金は株価上昇の値上がり益よりも確実性が高いと考えているようです。長期金利と配当利回りを比較して、配当利回りが高い場合もあるので、長期保有を前提にするならば、配当利回りは無視できないデータです。


次回は、「欧州株投資」について考えてみます。