俳優・渡辺謙が主演を務め、李相日監督がメガホンを取った映画『許されざる者』(9月13日公開)が、現地時間の8月28日にイタリアで開幕する第70回ベネチア国際映画祭に特別招待作品として出品されることが25日、明らかになった。
同映画祭は、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大国際映画祭の1つで、世界最古の歴史を持つ映画祭。近年では、『ザ・タウン』(2010年)、『ゼブラーマン-ゼブラシティの逆襲-』(2010年)、『ゲド戦記』(2006年)などが特別招待作品として出品された。今回は同作のほか、宮崎駿監督の『風立ちぬ』がコンペティション部門に選出されたほか、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』がオリゾンティ部門に出品されることも決定した。上映日は9月6日で、キャスト、監督も現地入りを予定している。
同作は、クリント・イーストウッドが監督と主演を務めた映画のリメイク作品で、『悪人』(2010年)、『フラガール』(2006年)などで知られる李相日が監督を務めた。舞台は、1880年の北海道。幕府軍の残党でかつては"人斬り十兵衛"と恐れられた男・釜田十兵衛(渡辺謙)は、顔を切り刻まれた女郎から「敵を討ってほしい」という願いを受ける。亡き妻と幼い子どもたちのために「2度と人は殺さない」と誓っていた十兵衛は、葛藤しながらも再び刀を手にとる。
出品決定の知らせを受け、主演の渡辺は「『許されざる者』というよく知られている話が、日本の風土の中にどう染み込んでいるのか、それが外国の方々にどう受け止められるのか、とても楽しみです」と海外での反応が気になる様子。李相日監督は「スタッフ・キャストの大いなる志が、ベネチアへの道を開いてくれました」とたたえ、「日本映画として生まれ変わった『許されざる者』を世界に発信できることを誇りに思います」と喜びのコメントを寄せている。
一方、町を牛耳る支配者・大石一蔵役の佐藤浩市は「北米発信のこの映画が、日本で生まれ変わり世界に届く、映画は共通言語です」と感慨深げで、十兵衛の過去を知る男・馬場金吾を演じた柄本明は「『許されざる者』が海を渡るのかぁ、日本人の魂がどう観客に伝わるのか、楽しみだ」と語っていた。