ヤマハは24日、都内で新製品発表会を行い、これまでWindowsのみに対応していた同社開発の歌声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド)」のMac対応を発表。Mac OSにも対応したスタインバーグDAWソフト用のエディタ「VOCALOID Editor for Cubase NEO」ならびに歌声ライブラリ「VOCALOID Library VY1V3 NEO」を発売する。両ソフトウェアの発売日は8月5日。価格はオープンプライス。

ボーカロイド開発者の剣持秀紀氏から、同ソフトのMac対応が明かされた

発表会の冒頭で、「ボーカロイドの父」こと開発者の剣持秀紀氏から、ボーカロイドのMac対応が明かされた。2003年2月、ボーカロイドが初めて発表された際のプレスリリースにMacOSへの対応は記載されていたが、諸般の事情で対応が進められず、10年越しに実現することになった。同社の「VOCALOID API」はライセンス提供を行っていくとのことで、すでに発表されている製品としては、同会場にてクリプトン・フューチャー・メディアが紹介した「初音ミク V3」同梱の「ピアプロスタジオ」などが挙げられた。

ボーカロイドのMac対応は2003年の発表から10年越しの実現となる

同社ソフトにおけるGUIのMac対応の第一歩となる「VOCALOID Editor for Cubase NEO」の対応OSは、Mac OS 10.7(32/64bit)、Mac OS 10.8(32/64bit)、Windows 8/7(32/64bit)。Windows版の「VOCALOID Editor for Cubase」とは別のソフトという扱いのため、既存ユーザーもアップグレードなどではなく新規導入する形となる。

ボーカロイド開発者の剣持秀紀氏から、同ソフトのMac対応が明かされた

また、歌声ライブラリの対応第1弾となるのが「VOCALOID Library VY1V3 NEO」。こちらは「VOCALOID Editor for Cubase NEO」と異なり歌声のデータであるため、Mac版のインストーラを無償提供。Windows版の既存ユーザーがMacでライブラリを使いたい時は、Windows版のアクティベーションを解除すれば、追加購入なしでMac環境に導入できる。

楽曲制作環境はWindows/Macで完全互換

ヤマハのボーカロイド音源の発売日一覧

今後も同社の歌声ライブラリは順次Mac対応を進めていくとのことで、6月下旬より発売された新製品「VOCALOID3 Library ZOLA PROJECT」や歌手・坂本美雨の声を元に作られた「VOCALOID3 Library MEW NEO」などが順次発売される。ちなみに、同社が今後発売するMac対応のボーカロイド関連製品には、共通して末尾に「NEO」という単語が付記される。

ヤマハミュージックジャパン インストラクターの青木繁男氏(右)とボカロPのキャプテンミライ氏(左)

「VOCALOID Editor for Cubase NEO」のデモンストレーションを担当したキャプテンミライ氏は、DAWとエディタをシームレスに移動でき、かつフレーズをループ再生しながら作り込んでいける同ソフトは非常に便利だと語っていた

これまでWindows上でのみ動作していたボーカロイドがMacに対応するにあたり、これまで同ソフトを使った作曲を手がけてこなかった人にも機会が広がることになる。楽曲制作は行ってきたがボーカロイドは未経験、という人も、すでにWindows環境で取り組んでいる人も、この機会に自身の環境を見直してみてはいかがだろうか。