園子温監督がメガホンを取り、國村隼、堤真一、長谷川博己、星野源らが出演する映画『地獄でなぜ悪い』(9月28日公開)が、現地時間の8月28日に開幕する第70回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門に正式出品されることが25日、明らかになった。
ベネチア国際映画祭は、カンヌ、ベルリンと共に世界三大映画祭の1つで、園監督作品の同映画祭への出品は、2010年のオリゾンティ部門『冷たい熱帯魚』、2011年のコンペティション部門『ヒミズ』に続き、2年ぶり3度目。『ヒミズ』では主演の染谷将太、二階堂ふみが新人俳優を対象にしたマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。自身3度目の出品に、園監督は「やはりうれしいです」と喜び、「前回はわが妻へプロポーズした場所でもありますから感慨深いです!」と語っていた。公式上映日、参加者は後日発表される。
今回出品されるオリゾンティ部門は、先鋭的、革新的な映画の発掘を目的とした部門。今年は審査委員長を脚本家・映画監督のポール・シュレイダーが務める。表彰される部門としては、最高賞となるオリゾンティ賞・作品賞のほか、今回からオリゾンティ賞・監督賞、特別オリゾンティ審査員賞が新設された。これまで日本からは塚本晋也監督『ヴィタール』(2004年)、三池崇史監督『IZO』(2004年)、青山真治監督『こおろぎ』(2006年)・『サッド・ヴァケイション』(2007年)、押井守監督『立喰師列伝』(2006年)、若松孝二監督『千年の愉楽』(2012年)などが出品され、2011年には、塚本晋也監督の『KOTOKO』が最高賞を受賞した。
同作は、國村隼がヤクザの組長・武藤役で主演を務め、二階堂ふみ演じる娘・ミツコをスターにすべく、ミツコ主演で映画を作ってしまう話。「娘を映画スターに!」という思いは、武藤を守るために獄中に入った武藤の妻・しずえ(友近)の生涯の夢でもあった。映画の神様を信じる青年(長谷川博己)、通りすがりの普通の青年(星野源)を監督に迎え、そのほかのスタッフ、キャストは漏れなくヤクザ。対立する池上組の組長で、過去の出会いからミツコに恋心を抱く池上(堤真一)までを巻き込んで、事態は思わぬ展開に…。
主演の國村は、同作について「『映画』に夢を託した人たちの、愛と恐怖の物語」と説明。「この作品は、撮影中から世界中の人に見てほしいと思っていました」と作品に込めた思いを語り、「この度、歴史有るベネチア国際映画祭から招待を受けて、そこに集う世界中の映画を愛する人々に見てもらう機会をいただけました。最高の喜びです」と心境を伝えている。