国立社会保障・人口問題研究所は24日、「生活と支え合いに関する調査」の結果を発表した。それによると、看護や介護などを頼みたい時に「頼れる人がいない」と答えた人の割合は、所得が低い程高いことがわかった。
調査対象は、「2012年国民生活基礎調査」で設定された全国(福島県除く)の調査地区に居住する世帯主および20歳以上の世帯員。調査期間は2013年7月で、1万1,000世帯、2万1,173名から有効回答を得た。
人とのつながりの状況について調べたところ、20歳以上の人のうち、普段の会話頻度(電話での会話を含む)が「2週間に1回」以下と答えた割合は2.1%だったのに対し、1人暮らしの65歳以上の男性では16.7%に増加。また、65歳以上と65歳未満に分けて、所得階級別に会話頻度を見ると、いずれの年齢層においても所得が低い程「毎日」会話をする人の割合、会話人数が減少した。
「看護や介護、子どもの世話」など10種類の事柄(サポート種類)ごとに、頼れる人(サポート提供者)の有無を尋ねると、約7割~8割の人がいざという時に頼れる「家族・親族」がいると回答。次いで「友人・知人」と続いたが、その割合は「家族・親族」より大幅に低かった。他方、「頼れる人がいない」という人も65歳未満では4.9%、65歳以上では3.5%存在し、所得が低い程その割合は高くなった。
現在の暮らし向きについては、男女ともに約半数が「普通」と回答。「ゆとりがある」(「大変ゆとりがある」と「ややゆとりがある」の計)と答えた人は1割以下にとどまったのに対し、「苦しい」(「やや苦しい」と「大変苦しい」の計)とした人は約4割に上った。また、「苦しい」と答えた割合は男性の方が多く、「大変苦しい」は男性が11.6%、女性が9.5%、「やや苦しい」は男性28.7%、女性27.2%となった。さらに詳細を見ると、30~50歳の無職の男性で「苦しい」とした人の割合が高く、無職30歳男性では66.9%、40歳男性では71.9%、50歳男性では65.1%に上った。
過去1年間で、家族が必要とする食料が買えなかった経験について、「よくあった」世帯は1.6%、「ときどきあった」は3.7%、「まれにあった」は8.5%で、合わせて14.8%が食料の困窮を経験。これを前回調査(2007年)の15.6%と比べるとわずかに減少していた。
過去1年間に、必要な医療機関を受診できなかった経験がある人は14.2%。その理由としては「病院や診療所に行く時間が無かった」が最も多く、20~64歳では67.1%、65歳以上では33.2%だった。
自分の親へ経済的支援をしている人の割合は、男性が前回比2.3ポイント増の14.3%、女性が同2.4ポイント増の10.5%。男女別に見た場合、男性は40歳代の17.4%、女性は20歳代の16.3%が最多となった。