命とは? 運とは?

中国の人がいかに風水を重んじているかを語るときに、よく引き合いに出される古い伝承があります。

これは何を表しているか、お分かりでしょうか。

  • 一、命

  • ニ、運

  • 三、風水

  • 四、積陰徳

  • 五、唸書学問

実はこれ、その言い伝えに登場する老人が、自分の人生を振り返ったときに、最も影響を受けたと感じる要素の順番なのです。

一番目の「命」とは、「宿命」のことです。あなたがこの世に生を受けた瞬間に宿る、変えることのできない定めであり、人生の大まかな道すじともいえるものです。

これに対して、ニ番目の「運」は、いわゆる「運命」を指します。こちらは逆に、あなたの努力や環境によって、運び込む(呼び込む)ことができるもの、あるいは改善できるものと考えて下さい。

この宿命と運命はよく混同して語られますが、完全に別物なのですね。

勉強より風水が先!

そしてその運命を変えていくために重要なものが三、四、五番目の要素であり、その筆頭に挙げられるのが「風水」なのです。

風水による環境整備を心掛けることで、運を呼び込むことが出来る! と考えているのですね。

中華文化圏の人は、本当にかなり風水を気にされるようです。

毎年変わる吉方位に合わせて、玄関を変える家庭も多いと聞くほどです(そういう家庭では、玄関を二つ持っています)。

そして、四番目の積陰徳とは、簡単にいえばボランティアのような「世の中の役に立つことをしなさい」ということなのですが、難しいのは「人に隠れたところで」という点です。

なかなかできることではありませんが、現代の「成功者」と呼ばれる人たちの人生哲学でも、必ずといっていいほど語られることですよね。

誰も見ていないところで善行を積むという行為は、見返りなど一切考えずに与え続けるということですから、ギブアンドテイクではなく、ギブアンドギブができる器の大きな人間になるための練習になる、ということでしょう。

ですからこれも、人生成功のキーワードのひとつといっても過言ではないと思います。

そして最後に五番目、唸書学問ですが、これはそのまま「勉強」の意味です。

勉強は人生に影響を与える要素としては、一番最後なんですね。面白いです。

確かにこれは、伝説的な事業家が必ずしも立派な学歴を持っているわけではないという事実とも無関係ではないように思われます。

ひょっとすると世に言う成功者たちは、学問よりもっと大切なものを無意識にわかっていて、運命を劇的に変えていったのではないかという気がします。

彼らはきっと、普段から黙ってコツコツと世のため人のために動き、結果的に「気」をコントロールして、知らず知らずのうちに強い運を味方につけていたのではないでしょうか。

そんなことをいろいろ思い巡らせながら老人の言葉を読み解くと、さらに感慨が深まりますね。

<著者プロフィール>

高木芳紀(たかぎよしのり)

風水オフィスアドバイザー。1971年名古屋生まれ。金沢大学卒業後、商社に就職。繊維、IT、放送関連機器の部署にて営業職を経験後、同社にいた先輩の家業であるアスクル代理店の「株式会社つばめや」に転職。新規事業企画担当兼ウェブマスターとして、主にインターネットを活用したオフィスサプライ通販の独自路線を開拓中。その中でオフィスの効果的なレイアウト手法のひとつとして風水と出会い、「風水オフィスドットコム」を立ち上げる。新たなる癒しの時代、創造の時代のキーワードとして、企業のオフィス作りを支援し続けている。自らに課したテーマは「仕事とオフィスの最適化!」