マーサージャパンは24日、「2013年世界生計費調査-都市ランキング」を発表した。
同調査は、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。世界5大陸214都市を対象に、住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用を含む200以上の品目を調査。それぞれを米ドル換算し、ニューヨークを100とした場合の指数で比較した。
その結果、海外駐在員にとって最も物価が高い都市はルアンダ(アンゴラ)で、昨年の2位からランクアップ。以下、2位はモスクワ(ロシア)、3位は昨年1位だった東京(日本)、4位はンジャメナ(チャド)、5位はシンガポール(シンガポール)、6位は香港(香港)、7位はジュネーブ(スイス)、8位はチューリッヒ(スイス)、9位はベルン(スイス)とシドニー(オーストラリア)と続いた。
マーサーのシニアパートナー、グローバルモビリティプラクティスリーダーのバーブ・マーダー氏は、「近年、世界で起こっている経済や政治の混乱が、為替変動や生計費の高騰、住居費の不安定をもたらし、その影響でこれらの都市が物価の高い都市となりました」と説明。
1位になったルアンダについては、「アンゴラはアフリカの主要産油国の一つであるにも関わらず、いまだ相対的に貧しいですが、輸入品が高価なために、海外駐在員にとっては物価の高い国となっています。さらに、海外駐在員の基準を満たす、安全な住居を見つけることは困難かつ、かなりの費用がかかります」と分析している。
なお、昨年トップ10入りした大阪(昨年3位)と名古屋(同10位)は、今回はトップ10圏外となった。マーサーのプリンシパルでランキング責任者のナタリー・コンスタンティン=メトラル氏は、「欧州通貨の価値が米ドルに対してわずかに上がったため、全体的にヨーロッパの都市の生計費ランキングが上昇している一方で、アジアの都市の半分、特に日本は、現地通貨の価値が米ドルに対して下がったことにより、順位が下がっています」と説明している。
品目別に見ると、コーヒー1杯の値段は、マナグア(ニカラグア)では1.54米ドルだったのに対し、モスクワでは約5倍の8.29米ドル。ハンバーガーセットは、コルカタ(インド)では3.62米ドル、カラカス(ベネズエラ)ではその約4倍の13.49米ドル。映画のチケット1枚の値段は、ヨハネスブルグでは5.61米ドル、ロンドンではその約4倍の20.10米ドルだった。
最大のコストである住宅費については、モスクワの寝室2部屋、家具なし高級アパートの1カ月の賃料が4,600米ドルで、カラチ(パキスタン)での賃料の14倍。最も物価の高い上位5都市の中で住宅費も高い都市は、東京、ンジャメナ、シンガポールの3都市だった。