JR西日本はこのほど、新幹線が万一脱線した場合の減災対策として進めている「逸脱防止ガード」の設置工事に用いる「逸脱防止ガード敷設運搬車」を開発したと発表した。同車両はすでに工事で使用されているという。

「逸脱防止ガード敷設運搬車」編成図

軌道モーターカー外観

「逸脱防止ガード」は、線路の内側に敷設することで、車両が脱線しても車輪がガードに当たり、大きく逸脱して被害が拡大することを防止するもの。同社の計画では、新大阪~姫路間の上下線合わせて166kmのうち、トンネル区間などを除いた約110kmについて、2015年度までに整備するとしている。

従来は「逸脱防止ガード」を施工箇所まで運んだ後、手作業でガード材の選別や取卸し作業を行っていたため、1日あたり約120mしか施工できなかった。そこで同社の専門チームと運搬車などの機械設備を開発する業者により、「運搬車」を共同開発。3月に導入し、4月から同車を活用した本格的な設置作業を進めた結果、1日あたりの施工距離は約4倍の約500mにまで拡大したという。開発費用は約4億3,000万円。

今回開発された「逸脱防止ガード敷設運搬車」は、敷設のための材料や「逸脱防止ガード」そのものを運搬する搬送台車2両と、設置作業を行う敷設台車1両を、軌道モーターカー2両で牽引する編成。編成長は約70mで、約500m分のガード材を積載できる。

同車両はガード材を積んで施工箇所に到着した後、その場所で使用するガード材を自動で選び出し、電磁石を利用して移動させ、コンベアで敷設台車までスライドさせた後に調整された設置位置に自動で取り卸すしくみだという。