スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ち、様々な部品や技術が搭載されています。そんなスマートフォンのカタログを見たときに、専門用語 のオンパレード……と思ったことはないでしょうか。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「携帯端末向けテレビ放送」についてです。

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現在スマートフォンで受信可能なテレビ放送は、日本国内には「ワンセグ」と「フルセグ」、「モバキャス」の3種類があります。なお、ビデオレコーダーの転送機能を使えばBS/CS放送も視聴は可能ですが、スマートフォン単独の機能でいうと前述の3種類に限られます。

スマートフォンが受信できるテレビ放送は、いわゆる地上波であり、日本の場合ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting、統合デジタル放送サービス)という規格体系に含まれます。世界中の国がISDBを採用しているわけではないので、iPhoneなどのワールドワイドモデルは対応せず、日本向けに仕様調整が可能なAndroid端末のみの機能となっています。

放送内容に関して言えば、ワンセグとフルセグはほぼ同じです。一部放送局では独自コンテンツを放送していますが、基本的にワンセグは12のセグメントを使用する地上デジタル放送(フルセグ)のサイマル放送で、自宅と同じ番組を移動中に視聴できることがメリットです。

もうひとつのモバキャスは、V-highマルチメディア放送の愛称であり、現時点では2012年春開局の「NOTTV」のみです。ワンセグ/フルセグとは異なるコンテンツを持ち、420円/月の有償でサービスを提供しています。映画などのペイ・パー・ビュー型コンテンツを「プレミアム番組」として提供するほか、メモリカードにコンテンツを一時記録するダウンロード型放送も用意されています。ただし、放送エリアはワンセグ/フルセグと比較して狭く、今後の課題とされています。

画質については、地上デジタル放送のフルスペック(1440×1080ピクセル、端末側で1920×1080に引き伸ばす)で表示するフルセグが、もっとも高精細です。次いでモバキャス、ワンセグの順となりますが、ダウンロード型コンテンツを含めればモバキャスの画質はフルセグを上回ります。

バッテリーのもちという観点からすると、ワンセグが有利です。フルセグは高画質ですが、情報量が多くなるぶん消費電力が増えます。NOTTVは、解像度で判断すればワンセグとフルセグの中間程度となりますが、番組情報を取得するプログラムが定期的に動作するなど、ワンセグ/フルセグとは単純に比較できない要素もあります。

図表と写真で解説

■スマートフォンに採用されているテレビ放送規格

サービス名 規格 最大解像度 概要
ワンセグ ISDB-T 320×240 地デジ放送波13セグメントのうち1セグメントを使用
フルセグ ISDB-T 1440×1080 地デジ放送波13セグメントのうち12セグメントを使用
モバキャス ISDB-Tmm 720×480※ ビデオ/音楽や電子書籍など蓄積型コンテンツに対応
※蓄積型放送では、最大1920×1080ピクセル/60fpsのコンテンツを配信可能

ワンセグ、フルセグとモバキャス(NOTTV)に対応したNTTドコモの2013年夏モデル「ARROWS NX F-06E」

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