「カーエレクトロニクスの分野にアプリで誰もが参入できる!」そんな時代の到来か。ゼットエムピー、JVCケンウッドと新たに合弁会社設立とスマホアプリ開発デバイス「カートモ」を発表

ゼットエムピー(ZMP)は、クルマとインターネットを繋ぎ、車速やエンジン回転数、アクセル・ブレーキペダルのストロークなど、多彩な車載データを活用しソフトウェアエンジニアがそれらを用いたスマートフォンアプリを開発できる「カートモUP」及び「カートモSDK」の対象車種の拡充と、9月より限定1,000台、モニター価格として1万円(税別)で提供を開始すると発表した。

ゼットエムピーは"人と機械を理解して最高に調和させる技術とサービスを提供する"というミッションを掲げ、RoboCarシリーズの販売や、人にも環境にも優しいクルマ作りの支援等を行っており、"次世代のモビリティの創造"に力を注いでいる企業だ。そのノウハウを活かし、自動車技術の発展と共に「クルマとインターネットを繋ぎ車載データを活用するアプリ」の創出を促進するのが、新たなフェーズへと移ったゼットエムピーの使命。その勢いを加速させるために、JVCケンウッドと新会社カートモを設立した。

ゼットエムピー及び新会社カートモの代表取締役社長である谷口恒氏

JVCケンウッド代表取締役会長の河原春郎氏

また、「カートモ」の車載データ(CANデータ:Controller Area Networkデータ)のクラウドプラットフォームにはマイクロソフトの「Windows Azure」を採用。約300以上とも言われる車載データ、昨今話題のビッグデータを活用し新たなイノベーション創出の一助となることだろう。

クラウドプラットフォームを提供するマイクロソフトより、マイクロソフトディベロップメント株式会社代表取締役社長加治佐俊一氏

ソフトウェアエンジニアはもちろん、既にAndroidやiOSでアプリを制作・リリースさせたことがある人にとって気になるのは、自動車から車載データを取得できるコネクタ「カートモUP」と、開発環境となる「カートモSDK」の詳細についてだろう。

カートモプラットフォームの概略図で「カートモUP」や「カートモSDK」の立ち位置を紹介する谷口氏

こちらが「カートモUP」の本体。といっても仕組みはカンタンで、センサ類の納められたOBDIIコネクタとそこから伸びるケーブル。ケーブルにはAndroid環境下での開発を想定し、MicroUSB端子となっていた。いずれ、iOS用の「カートモUP」も提供されるだろう

まず現時点で判明しているのは、9月のモニター販売の時点ではAndroid環境下でのものとなるようだ。iOSに関しては後日リリースするとのこと。「カートモUP」の対応車種については、トヨタ「プリウス(ハイブリッド、プラグインハイブリッド)」、「アクア」、ホンダ「フィット(ハイブリッド)」、日産「ノート」、マツダ「デミオ」、スバル「インプレッサ」となっているが、ニーズに併せて今後対応車種を拡充させていく計画だそうだ。基本、OBDIIコネクタの搭載車種に限られるが、逆に考えればOBDIIコネクタが搭載されていれば国内・国外はもちろん、メーカーの垣根を越えたアプリの開発も夢では無いということで、夢を膨らませてくれる。

「カートモ」の概略図。「カートモUP」とスマホを接続し、車載データをインターネット網へ。自動車、スマホで得られる各種センサ情報をどうアプリに活かすか。そう考えるだけでワクワクする

取得できるデータがこちら。車種によって若干の違いはあるものの、車速やペダルストローク、ステアリングの切れ角といったオーソドックスなものから、ウィンカーやワイパーなどのON/OFFも情報として取得できる

自動車とモバイルデバイス。テレマティクス分野のソフトウェア開発は、今が好機!

発表会会場で、カートモの代表である谷口恒代表取締役社長は、テレマティクス分野の市場開拓は日本で今やらねばと危機感とも呼べる高い意識を語るとともに、ベンチャー企業ならではのスピード感や思い切りの良さに期待しているという。各自動車メーカーも独自に車載情報を用いたテレマティクスの開発を行っているが、決して横断的に行われているとは言いがたいのが今の情況だ。車載データを用いた新たなサービスの創出に期待するとともに、法人・個人を問わず多くのクリエーターに"世界の第一人者"となる機会を与えてくれる「カートモ」から、今後も目が離せそうにない。

「カートモSDK」のデモンストレーションコーナーも。自動車に配された各種センサの数値をベースにスマホで新たなコンテンツ・サービスを。「カートモ」の狙う市場は大きい