機楽が、3Dプリントサービスのジェイ・エム・シー、金型製作のミヨシ、そして電子部品のスイッチサイエンスとタッグを組んで開発し、クラウドファンディング「Kickstarter」(画像1)を利用するという新手法で、日本だけでなく世界もターゲットにして低価格販売を行うホビーロボット組み立てキット「RAPIRO」を開発した。

画像1。クラウドファンディング「Kickstarter」の画面

画像2。低価格ホビーロボットキットRAPIRO。

199ポンド(約3万円)というサービス価格設定の先着50台はあっという間に予約受付が終了し、それどころか7月16日時点で、34日の期間を残して、すでに量産のための目標金額である2万ポンドを遙かに超え、倍以上の5万6493ポンド(約840万円)を達成している。なお現在は、229ポンド(約3万5000円)の通常価格で申し込むことが可能だ(上記のリンク先の記事執筆時に入手した資料から若干の変更などが行われ、現時点ではこの価格設定となっている)。

今回、RAPIROの開発に携わっているスイッチサイエンスの協力を得て、RAPIROを企画してデザインも担当した機楽の代表取締役社長である石渡昌太氏(画像3)に、RAPIROの誕生やその楽しみ方、クラウドファンディングを選んだ理由などについての話を聞かせてもらったので、その模様をインタビュー形式でお届けする。

画像3。機楽の代表取締役社長で、RAPIROの企画・デザインを担当した石渡昌太氏

RAPIROの開発経緯について

--:ではまず、RAPIROには、3Dプリンタ、Raspberry Pi(ワンボードPC)、ロボット、クラウドファンディングなど、注目すべき要素が複数ありますが、企画はどのようにスタートしたのでしょうか?

石渡氏:もともと今回の企画は、まず3Dプリンタを活用するという考えがありまして、その次にRaspberry Piを活用する、ということでした。この2つのキーワードを念頭にして何を作ろうかと考えた結果、ロボットに至ったという具合です。

--:まずホビーロボットキットを、というのではなくて、その逆だったんですね。最初に3Dプリンタによる開発がありきで、なおかつRaspberry Piを搭載できるもの、ということで最後にロボットが出てきたんですね

石渡氏:ご存じのように2012年の末頃から3Dプリンタが話題になり出して、2013年以降も続くでしょうから、まず3Dプリンタの活用事例を1つ作ろうというのがありました。それから、Raspberry Piが2012年の2月に発売され、すでに100万台が売れたといいます。以前にも似たようなコンセプトの製品はありましたが、販売台数の多さが手伝ってRaspberry Piは発売されてからこの1年の間に世界中でソースコードがたくさん作られました。そうしたRaspberry Piのフィジカルな活用事例ということでも、RAPIROがあるわけです(画像4)。

画像4。RAPIROにさまざまなポーズを取らせてみた(その1)