Windows 8の動作も思いのほかキビキビとしている。CPUがAtomでメモリが2GBというと、どうしても先入観で「遅そう」とイメージしがちだが、そんなことはない。microHDMI出力を利用して外部ディスプレイを使う場合でも、Web閲覧やOfficeアプリケーションといった比較的ライトな使い方なら、ストレスを感じることはほとんどないだろう。

ただ、重い処理を続けていると、本体上部の裏側(ロゴの裏。カメラを内蔵しているあたり)が熱くなる。本体を縦長の向き(ポートレート)で持っていると気付きにくいが、横長(ランドスケープ)で持って動画を再生しているときなどは、少し気になる。

Windowsエクスペリエンスインデックスと、PCMark 7の結果は表の通りだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスの結果

■ PCMark 7
PCMark score 1407
Lightweight score 954
Productivity score 616
Creativity score 1016
Entertainment score 2884
Computation score 3335
System storage score 2951
Raw system storage score 741

バッテリ駆動時間は、BBenchの実測で実に10時間21分。BBenchは、60秒ごとにWeb巡回、10秒ごとにキーストロークという設定だ。Iconia W3-810の電源プランは「バランス」で、画面の輝度は30%に固定、インターネットは無線LANの常時接続、Bluetoothはオフで計測している。公称で「最大8時間の720pビデオ再生」というのも、あながち誇張ではないようだ。画面の輝度を最大にしてインターネットの動画を再生しまくるようなヘビーな使い方でなければ、普通に丸一日はバッテリで使える。

Windowsに新しい道を拓けるか

Iconia W3-810の最大の魅力は、Windows 8やMicrosoft Office Home and Busines 2013のフル機能をこのサイズで利用できること。外出先ではタブレットとして利用し、家や会社ではキーボードと一緒に利用するという使い方も似合う。microHDMI出力を搭載しているので、外部ディスプレイを接続したデスクトップPC風のスタイルもできなくはない。

繰り返しになってしまうが、携帯しやすいサイズと重さ、Windows 8、Microsoft Office Home and Busines 2013、実売で50,000円台の価格(2013年7月時点)、このあたりが検討のキーワードになる。Windows 8とMicrosoft Office Home and Busines 2013が必要で、片手サイズのタブレットとなると、選択肢はIconia W3-810しかない。その意味ではオンリーワンの魅力を持っており、Windowsの世界に新しいジャンルを拓く可能性を秘めた製品といえるだろう。

■試用機の主な仕様
製品名 Iconia W3-810
OS Windows 8 32bit版
CPU Intel Atom Z2760(1.80GHz)
メモリ LPDDR2 2GB(固定)
ストレージ 64GB eMMC
グラフィックス Intel GMA
Webカメラ Acer Crystal Eye HD Webカメラ×2(フロント/リア)
通信機能 IEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0+HS
インタフェース microSDカードスロット、microHDMI出力、microUSB 2.0、ヘッドホン出力
センサー 照度センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、電子コンパス
本体サイズ/重量 約W219×D134.9×H11.4mm/約500g
店頭予想価格 50,000円台後半