「レディー・カガ」がズラリ。温泉街を支える様々な職種の女性が参加している

石川県南部にある加賀温泉郷で、2011年にスタートした「レディー・カガ」プロジェクト。「えっ、あのレディーガガ?」とアメリカの人気ミュージシャンと見間違えた人もいるかもしれないが、こちらは「レディー・カガ(加賀)」。観光PR、おもてなしの向上を目的に、温泉街で働く女性たちが「レディー・カガ」として大活躍しているのだ。

加賀の女のおもてなしの心をアピール

加賀温泉郷は、松尾芭蕉が愛した緑豊かな名湯「山中温泉」、北大路魯山人や与謝野晶子など多くの文化人に愛された北陸最大級の温泉「山代温泉」、名峰 白山のふもとに広がる「片山津温泉」、開湯1300年の北陸最古の名湯「粟津温泉」の4つの温泉からなる。美しい自然と長い歴史の中で育まれた伝統文化が色濃く残り、全国屈指の湯の街として知られている。

そんな加賀温泉郷が2011年、一躍脚光を浴びる。それが「レディー・カガ」プロジェクトだ。これは、県内の利用者が多い加賀温泉郷の名を広くアピールし、活性化やイメージアップにつなげようと、温泉街をあげて発足したもの。

温泉と言えば、旅館やお土産店などで地元の人と触れあうのも楽しみのひとつ。そこで、訪れる人々を直接おもてなししている、旅館やお寿司屋さん、観光案内所など温泉街で働く女性たちが、加賀温泉郷のPRグループ「レディー・カガ」として活躍することになったのだ。

会いに行ける女将さん!? レディー・カガ一番人気の和風美人

レディー・カガの甘池英子さん。この笑顔を見かけたら気軽に声をかけて!

レディー・カガのひとり、山代温泉の旅館「瑠璃光(るりこう)」の女将代理・甘池英子(あまいけ えいこ)さんに話を聞いてみた。

優しい笑顔がステキな和風美人の甘池さん。ふだんは瑠璃光でお客様のお出迎えやご案内などのおもてなしをしているが、レディー・カガとしてイベントやメディアに登場することもよくある。

そのため、最近はホームページやポスターなどを見て、甘池さんに会いに来るお客さんも多い。中には予約を入れる時に、甘池さんが出勤しているかどうか確認する宿泊客もいるとか。イベントなどで会った方がリピーターになってくれることもあり、レディー・カガ効果を実感しているそうだ。

2015年春には北陸新幹線が開業し、これまで3時間50分かかっていた金沢-東京間が2時間30分で結ばれる。甘池さんは、「新幹線開業を機に、首都圏の方々にも加賀温泉郷に気軽に遊びに来ていただきたい」と話している。

温泉街が熱く盛り上がる夏の風物詩「山代 大田楽」

そんな甘池さんに山代温泉のこの夏おすすめのイベントを聞いたところ、力強く挙げてくれたのが、8月4日、5日に行われる「山代 大田楽(だいでんがく)」だ。

「大田楽」とは、中世に大流行した幻の芸能「田楽」に日本各地の芸能や音楽を盛り込み、五世 野村万之丞(まんのじょう)氏が現代によみがえらせた創作作品。全国で行われているが、山代温泉では三本足のカラスによって発見されたという開湯伝説を取り入れた独自の演出で、毎年8月に開催されている。

「山代 大田楽」。勇壮な踊りは見ごたえたっぷり。山代温泉の熱い夏を体感できる

当日は笛や太鼓、独特のかけ声に合わせて、奇抜な衣装を着た人々がリズミカルな踊りを披露。この踊りは誰でも参加できるので、温泉客なども飛び入りして、地元の人と一体になって祭りを盛げている。甘池さんをはじめとしたレディー・カガのメンバーも一部参加するとのことで、今から練習に励んでいるそうだ。

唄と踊りでおもてなし、期待の若手芸妓

山中温泉の芸妓 小乃葉さん。素顔はとてもチャーミングな21歳

レディー・カガの中には、地元温泉街の芸妓(げいぎ)もいる。山中温泉生まれの小乃葉(このは)さんは、小さい頃から踊りが大好きで、高校卒業後すぐに芸妓の世界へ。今年で3年目を迎える。現在、山中温泉の旅館や料亭、地元の民謡 山中節の唄と踊りを鑑賞できる舞台小屋「山中座」などで踊りや唄を披露している。

レディー・カガとしては、動画やポスターの他、地元のみならず東京、大阪など県外でのイベントに参加。時には踊りを披露することもあるという。その様子が全国ニュースで紹介されたり、駅に貼ってあるポスターを見てきたお客さんに、「ポスターに載ってたね」と声をかけられたりして、レディー・カガの注目度の高さを肌で感じているそうだ。

レディー・カガおすすめの山中グルメ3品

そんな小乃葉さんに、おすすめの山中グルメを教えてもらった。1つ目は、温泉卵「菊の湯たまご」(1個70円)。山中温泉の総湯 菊の湯の源泉で5時間かけてゆであげたもので、トロトロの白身と濃厚な黄身がたまらない一品。小乃葉さんは、ほのかな甘みが気に入っているそうだ。

2つ目は、山中温泉名物「娘娘(にゃあにゃあ)饅頭」(1個105円)。娘娘は、加賀の言葉で「娘さん」のこと。加賀美人の上品さをこしあんで表現し、黒糖とみそがほんのり香る甘さ控えめの饅頭だ。昔ながらの素朴な味わいが、風情あふれる山中温泉にピッタリ。お土産にもおすすめだ。

「菊の湯たまご」お風呂上がりにぜひ!

優しい味で人気の山中名物「娘娘饅頭」

3つ目は、山中温泉に流れる大聖寺(だいしょうじ)川の渓谷「鶴仙渓(かくせんけい)」の「川床」で提供される「冷製抹茶しるこ」(加賀棒茶付きの川床セット/大人600円)。地元出身の料理家 道場六三郎さん考案のメニューで、「ひんやりしていてこれからの時期にピッタリ」と小乃葉さんもイチオシ。緑に囲まれて川のせせらぎを聞きながら食べるとまた絶品だ。

鶴仙渓の「川床」でホッと一息

「冷製抹茶しるこ」は冷たくて美味

甘池さん、小乃葉さんをはじめとしたレディー・カガの活躍で注目度がアップしている加賀温泉郷。9月30日までは、レディー・カガに会うともらえるブロマイド名刺を5枚集めると、もれなく特製カードホルダーをプレゼント。更に抽選で「加賀温泉郷ペア宿泊券」が4名に当たる、うれしいキャンペーンが行われている。

夏の予定を計画している人は、山中、山代、片山津、粟津の各温泉を巡って「レディー・カガに会いに行くツアー」なんていかがだろうか。温泉街で働く女性たちの心づくしのおもてなしで、きっと素敵な思い出ができるはずだ。