「ただしイケメンに限る」と言ってしまう理由とは……?

女性が男性に恋をした話や、男性が女性からモテる方法などが書かれた記事がインターネット上に掲載されると、男性とおぼしき読者から「※ただしイケメンに限る」というコメントがつくことがあります。

●●な男性は女性にモテる。でもそれはイケメン、つまり外見がかっこいい人に限られるんだという意味で、「※ただしイケメンに限る」と言われます。どうして、男性はそんなコメントをしてしまうのでしょうか。人間の行動や心理に詳しい平松隆円さんに、そのあたりの男性の心理について解説していただきます。

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容姿のいい人に魅力を感じるのは間違いない

男女を比べてみた場合、どちらも容姿のいい人に魅力を感じるのは間違いありません。ですが、女性の場合、男性の容姿がいいだけではパートナーとしては不十分です。

というのも、パートナーの子どもを妊娠出産し、子育てをしていく未来を考えた場合、自分と子どもを守ってくれる強さや経済的な安定が必要になってきます。自然界でいえば、子育てのあいだ、外敵から守ってくれる能力や餌をとってきてくれる能力を、男性に期待します。そのため、容姿というのは魅力の絶対的な条件ではないんです。どんなに容姿が良くても、ダメ男では困りますよね。

ですが、男性の場合は自分自身が子育てをするわけではないため、繁殖したいなと思うような容姿が魅力の最大の要因として影響します。つまり、男性自身は女性を顔で選んでいるわけです。自分自身がそうなのですから、女性もきっと何だかんだ言って顔で選んでいるに違いないと、男性は思いますよね。それが、「※ただしイケメンに限る」とコメントしてしまう理由なんです。

モテない言い訳を用意しないといけない心の表れ

しかし、女性にとって容姿が絶対的な条件ではないと心のどこかでは知っていながらも、このようなコメントをしてしまう人もいます。たとえば、女性にモテる絶対的な理由というのは、あるようでないですよね。

よく、優しい男性はモテると言います。ですが、女性によっては、この優しさが軟弱と見えることもあるわけです。つまり、同じことをしていても、モテる男性とモテない男性がいるわけです。

もし同じことをしていても、自分がモテなかったら説明がつかない。そのモテない理由として、外見を持ち出しているわけです。やっぱり、女性はイケメン好きなのか。この女性は人を外見でしか見れない、その程度の人間だから自分にはふさわしくないと、モテなかったときの言い訳にしているともいえます。

「※ただしイケメンに限る」というコメントは、容姿を重視してしまう男性の特徴と、ふられたときの言い訳を用意しないといけない男性の心の表れなのではないでしょうか。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。