フィンランドNokiaは11日(現地時間)、米国ニューヨークでスマートフォン「Lumia 1020」を発表した。41メガピクセル(4,100万画素)という高画素の「PureView」カメラを搭載した製品で、同社CEOであるStephen Elop氏は、「スマートフォンの写真を次の章へ」アピールする。

Nokia Lumia 1020

Lumia 1020は、4.5インチWXGA(1,280×768)の有機ELディスプレイを備えたWindows Phone 8搭載スマートフォンで、プロセッサは1.5GHzのデュアルコアSnapdragon S4を採用する。2GBのRAM、32GBのROM、USB2.0、Bluetooth 3.0、無線LAN、NFCなどを備えるLumiaシリーズのフラッグシップモデルだ。バッテリ容量は2,000mAh、背面パネルを交換することで、ワイヤレス充電もサポートする。

カメラ部を除けばユニボディのフラットなデザイン

最大の特徴はカメラ機能。撮像素子に4,100万画素の裏面照射型CMOSセンサー「PureView」を採用し、最大7,712×5,360ドットという巨大な画像を撮影できる。センサーも第2世代となり、サイズは1/1.5型とやや小型化したが、「一般的なスマートフォンのセンサーよりも最大で5倍大きい」(同社)とアピールする。同社は、2012年にSymbian搭載の「Nokia 808 PureView」を発売しており、同様の高画素カメラを実現。高画素を生かした新たな撮影体験を提供していた。

カメラ部が大型だが、Nokia 808に比べると薄型化されている

画素数は7,712×5,360の41メガピクセルだが、有効画素数はアスペクト比16:9の場合で3,360万画素(7,712×4,352)、4:3の場合で3,820万画素(7,136×5,360)となる。

高画素での記録を可能とするため、レンズも強化しており、カール ツァイスと協業してレンズを開発。Nokia 808では5枚だったレンズ構成を6枚に変更し、1枚のガラスレンズ、5枚のプラスチックモールドレンズを採用した。第2世代に進化した光学式手ブレ補正も搭載している。

レンズの焦点距離は、35mm判換算で25mm(16:9)または27mm(4:3)で、F値はF2.2。メカニカルシャッターも搭載する。画像処理エンジンとしてNokia Image Processingとピクセルオーバーサンプリング技術を採用。独自の3Aアルゴリズムで、オート露出、オートフォーカス、オートホワイトバランスの精度を向上させているという。このほか、光量を増加させた新開発のキセノンフラッシュも搭載。動画撮影向けにLEDライトも備える。

通常のカメラは、有効画素数そのままの画像を出力するが、Lumia 1020ではフル画素での出力に加え、オーバーサンプリング技術によって7つの画素を1つの画素として合成して500万画素の画像を出力する。この画素合成により、よりシャープで低ノイズの画像を生成できるとしている。

Nokiaによる作例。左がフル画素(原寸大画像を見る)、右がオーバーサンプリングにより生成された画像(原寸大画像を見る)

Lumia 1020では、静止画では約3倍までのズームが可能で、この時の画素数は500万画素になる。光学ズームは搭載しないが、デジタルズームで画面の一部を切り出して疑似的に光学ズームの効果を得ることができる。高画素のため、画像を拡大しなくても十分な画素数を得られる。

動画の場合は、4倍ズームでもフルHDで撮影できる。6倍ズームであってもHDサイズの映像が撮影できる。焦点距離では、静止画は25~69mm(16:9)/27~74mm(4:3)相当、動画では25~100mm相当になる。

裏面照射型センサーによる高感度への対応に加え、光学式手ブレ補正によって手ブレも抑えられることで、「一般的なスマートフォンよりも3~5倍の長秒時撮影ができる」(同社)としている。マニュアル露出では、最長4秒までシャッタースピードを設定可能。

Nokiaによる夜景の作例(原寸大画像を見る)

新しいカメラアプリとして、「Nokia Pro Camera」も搭載する。高機能なカメラ設定が可能で、シャッタースピード、露出補正、ホワイトバランス、ISO感度、マニュアルフォーカスといった撮影設定が可能。

Nokia Pro Camera

Pro Cameraでは、ズームをしないでフル画素で撮影し、後から任意の場所を切り出して疑似的にズーム効果を得ることも可能で、最大で31倍までズームが行える。また、撮影時にフル画素と500万画素の画像を同時に記録。オーバーサンプリングした画像、画面中央で3倍ズームした画像といった記録方法も選択できる。

ビデオ撮影機能は、解像度がフルHDまたはHD、フレームレートが24/25/30fpsから選択できる。ビデオライト、ホワイトバランス、マニュアルフォーカスの設定も行える。「Nokia Rich Recording」技術により、2つのマイクを使った高品位な音声録音も可能。

マニュアル設定のUI

Lumia 1020のカメラを外部アプリから制御するためのSDKも同日から公開されており、すでにHipstamatic、Path、Yelp、CNN、Foursquare、Flipboardらが対応アプリをリリースすることが明らかにされている。

また、「Nokia Camera Grip」をオプションとして用意。背面パネルと交換することで、グリップ、三脚穴、シャッターボタン、外部バッテリを追加でき、よりカメラらしい使い方ができるようになっている。こちらは79.99ドルで発売される。

Elop氏は、「2008年には、コダックのフィルムカメラを買う人よりもNokiaのカメラ(を搭載した携帯)を買う人の方が多くなった」と指摘。ユーザーの写真に対する熱意を理解しており、写真関連で450の特許を取得するなど、力を入れてきた、と話す。Lumia 1020は、そうして生まれたスマートフォンで、「昼間でも夜でも、いつでも美しい写真が撮れる」とElop氏。高画素を生かして1枚の画像からズームしたり、構図を変えたり、後から処理できる点やオーバーサンプリング技術による高画質化をアピールしている。

なお、Lumia 1020は米国で7月26日から発売。AT&Tの独占販売で、2年間の契約を前提として299.99ドルで販売される。今四半期中には、中国、欧州、南米の各地域で販売される予定だ。