「易経」の教えとは?
前回に続き、今回は「変化」についてもう少し詳しくお話させていただきます。
現代の世界的なビジネスセオリーの中にも、中国古来の考え方が息づいているというお話です。
突然ですが、あなたもよくご存知の「易」という字ですが、これは何を表しているかご存知でしょうか?
パーツの成り立ち的に言いますと、実は、上の部分が「日」、下が「月」なんですね。
つまり、中華思想でいうところの、「陰陽」をズバリ表したものです。
風水、陰陽といえば、あの有名な黒と白の勾玉がぐるぐると回っているマーク「太極図」を連想されると思いますが、まさに絶えず変化するシンボルとも言えるものです。
さて、話は「易」に戻りますが、これはトカゲの象形文字から来ているという説もありまして、その心は「トカゲは周囲の環境に対応して、絶えず色を変化させている」、つまり、こちらも変化の象徴を「易」の字に意味付けしているわけです。
風水の、いや中国の思想学問の根本である「易経」(英語名は「Book of changes」つまり「変化の書」)では、「易」には3つの意味があるとしています。
「変易・不易・易簡」の3つです。
解釈については諸説ありますが、概ね
森羅万象、ものごとは全て変化し続けるものである(変易)
その中にも、春夏秋冬のように一定の不変の法則性がある。当然、「変易の法則」も不変である(不易)
そして「変易の法則」は「極まれば変化する」という簡素なもので、それを心得れば天下の事象も分かりやすく、流れに従いやすくなる(易簡)
というものです。
現代の自己啓発と易経
さてここで、いよいよ現代の著名なビジネス書の内容と照らし合わせてみましょう。
2002年にベストセラーになった、デイル・ドーテンの「仕事は楽しいかね?」です。
驚くべきことに、目次からして易の概念そのままです。例えば…
第4章 明日は今日と違う自分になる、だよ(変易に従え)
第7章 目標に関するきみの問題は、世の中は、きみの目標が達成されるまで、じーっと待っていたりしないということだよ(問題や、目標自体も変化していく)
第11章 もし宇宙が信じられないような素晴らしいアイデアをくれるとして、きみはそれにふさわしいかね?(逆に変わり続ける者にしか、アイデア=運は降りてこない)
このように、じっくり内容を考えるとかなり合致している、とわたくしは思っています。
前述したトカゲがなぜ色を変えるかといえば、敵から身を守り、生き延びていくためです。
人間も同じで、自分の置かれた状況に応じて、常に変わっていくべきであるということを、易は明確に示しています。
自分の夢をかなえる、目標を達成するには、いかに自分が変わっていけるかという点が現代の自己啓発理論の根幹となっていると思います。
他人は変えられないから、自分を変え続けることで、結果的に他人を巻き込んでプラスの循環を生み出す、という考えですね。
これ即ち、言い替えると「運を引き寄せた」ということになるのではないでしょうか?
現代のビジネス風水では、オフィス環境の最適化だけでなく、こうしたマインド的な部分もフォローしていくべきなのかもしれませんね。
<著者プロフィール>
高木芳紀(たかぎよしのり)
風水オフィスアドバイザー。1971年名古屋生まれ。金沢大学卒業後、商社に就職。繊維、IT、放送関連機器の部署にて営業職を経験後、同社にいた先輩の家業であるアスクル代理店の「株式会社つばめや」に転職。新規事業企画担当兼ウェブマスターとして、主にインターネットを活用したオフィスサプライ通販の独自路線を開拓中。その中でオフィスの効果的なレイアウト手法のひとつとして風水と出会い、「風水オフィスドットコム」を立ち上げる。新たなる癒しの時代、創造の時代のキーワードとして、企業のオフィス作りを支援し続けている。自らに課したテーマは「仕事とオフィスの最適化!」