映画『少年H』の完成報告会見が10日、都内で行われ、キャストの水谷豊、伊藤蘭、吉岡竜輝、花田優里音、小栗旬、國村隼、岸部一徳と降旗康男監督が出席した。

前列左から、花田優里音、吉岡竜輝、後列左から、國村隼、岸部一徳、伊藤蘭、水谷豊、小栗旬、降旗康男監督

同作は、激動の昭和初期を舞台にした妹尾河童の自伝的ベストセラー小説を実写化した作品。神戸で洋服の仕立屋を営む妹尾一家は幸せに暮らしていたが、やがて戦争が始まり自由な発言がしづらい時代になっていく。ついに神戸も大空襲に見舞われて街は焼け野原となるが、人々は新たな一歩を踏み出していく――という強くたくましく生きた家族を中心に描いたストーリーで、映画は8月10日から全国公開予定。

第35回モスクワ国際映画祭のGALA部門で特別作品賞を受賞した同作。水谷は「笑ったり泣いたり反応してくれて、想いが伝わった事がうれしかった」と感激し、降旗監督は「面白い家族の話だけど、若い世代には、戦争とはジワジワと忍び寄って来るもんだという事を知って欲しい」とアピールした。また、約30年ぶりの共演で初の夫婦役を演じた水谷&伊藤夫妻だが、國村は「世間知らずで、撮影中は夫婦だと知らなかった」と暴露し、水谷は「実際の夫婦である事を忘れて試写を観ました。みなさんも観終わった後に思い出して頂ければ」と苦笑い。還暦になるお祝いにと、水谷自ら妻役をオファーした事について触れられた伊藤が「とても人間らしく明るさを失わない母親像に出会えた。声を掛けてくれた水谷豊さんに感謝しております」と笑顔を見せると、水谷は「次は古希のお祝いで!」と10年後の再共演を熱望していた。

会見後は、TOHOシネマズ六本木ヒルズで完成披露の舞台あいさつが行われ、水谷は「豊さ~ん!」とファンに迎えられて照れ笑い。「本当に素晴らしいスタッフやキャスト、生活を共にしている蘭さんやH(吉岡)、好子(花田)と一緒にやれて、本当に幸せを感じてます」とあいさつすると、花田は「とても良い映画なので、真剣に見て下さい!」と笑顔で観客にアピールした。また、14日に61歳の誕生日を迎える水谷に、妻の伊藤と子役の吉岡、花田が、ハート模様などをデコレーションしたバースディケーキがサプライズでプレゼントされ、水谷は「何かあるんだろうなと思ってたけど……。家族って良いな~」と満面の笑み。感激のあまり「味がよく分かりません……」と言いながら実食する水谷に、吉岡は「あっ、そこは伊藤蘭さんの愛が詰まったところだ!」と突っ込んで笑いを誘っていた。