声優の応援やタレントの参戦は何のため?

ゲームの勝利チームが「Pontaポイント」を山分けする際のイメージ

同番組は、前述の通り血液型でチーム分けがされており、それぞれのチームには血液型代表のタレントが立ち、スタジオでゲームをプレイした。また、スマートフォンのゲーム用アプリからは、これも血液型ごとに異なる人気声優のサポートボイスが流れる。番組中に表示されていたTwitterのタイムラインには、タレントや声優に関するツイートが絶えず流れ話題にはなっていたが、原氏は前回の記事の中で、この番組は「視聴者が主人公」だと語った。それならば、なぜ主人公たる視聴者以外の登場人物がこれだけ多いのだろうか。

この問いかけに対し、テレビ東京の石井氏は、声優の起用に関しては「すごく単純なことで、血液型ごとに誰かに応援されたら嬉しいだろう、というアイデアがきっかけ」と語る。一方、タレントの出演については、原氏がその理由を教えてくれた。「視聴者が主人公とは言っても、ひとりで楽しむのではなく、"誰かと一緒に番組を共有しながら観ることが楽しい"という体験を作りたかったんです。そのために、TwitterやFacebookのアカウントとも連動させました。しかし、それでも多くの人はひとりで体験することになるだろうと想像していたので、一緒に番組を楽しむ友人の代わりになってもらいたくて、タレントさんに出演していただいたんです」。

"ネットそのまま"を心がけたTwitterのタイムライン表示

番組中のツイート表示のイメージ

また、この番組で印象的だったのは、Twitterのタイムラインがかなり長い間表示されていた点。テレビ番組でもツイートを表示する試みは多くなってきているが、ハガキ投稿のように少ない数を表示するか、あるいはごく限られた場面でタイムラインを表示するのが一般的。しかし、「BLOODY TUBE」では、アナウンサーがゲーム説明をしている時や成績発表をしている時など、かなり多くの場面で指定ハッシュタグを含むツイートを流し続けていた。

ネットで流れている情報であっても、テレビ放送にのせるとなると意味合いはやや変わってくる。それでもなおリアルタイムでTwitter上の反応を放送に取り入れたことに関して、原氏は「これは本当にすごい覚悟だと思いました」と、テレビ東京はじめ関係各社の決断を称賛した。最低限、罵詈雑言を取り除くシステムを作った以外は、意見の内容によって採用・不採用を決めず、とにかく流しっぱなしにしていたのだそうだ。

この"覚悟"は、リアルタイムでの視聴者の反応を出すという狙いもあったが、もうひとつの意味がこめられている。原氏は、この取り組みを、「「おもしろいでしょ」とこちらから言うのでは無く、「これって、おもしろいですか」と世に聞いている」という意思表示なのだと語る。だからこそ、ツイート内容をふるいわけず、率直な声をそのまま電波にのせる。結果として、タイムラインには否定的な内容はほぼゼロで、番組を面白がる声ばかりが連なる、大成功に終わったのだった。

プロジェクションマッピングを身にまとい、視聴者のみならず制作陣まで魅了した壇蜜。番組中では、リアルタイムのツイート文面や、レースの上位入賞者のTwitterアカウント名が壇蜜の身体の上をなめるように投影されていた

なお、最後に「次回の「BLOODY TUBE」開催があったら、レース会場となるのは誰の身体?」という質問を投げかけたところ、居合わせた皆さんが一斉にうなりだした後、石井氏が「壇蜜さんが良すぎた!」と本音をのぞかせていた。

ネットとテレビの垣根を越えた、たぐいまれなる番組「BLOODY TUBE」は、やはり制作陣の熱い思いによって実現したものだった。当日視聴できた人も、見逃して悔しい思いをした人も、ぜひその思いや激励を関係各社に伝えてほしい。"双方向"の番組を後押しするのは、やはり主人公たる視聴者。スタッフ陣からは「素敵なボディ、募集中です」とのコメントを預かってきたので、反響によっては、次回の「BLOODY TUBE」の開催も実現するかもしれない。