アウディ ジャパンは、ドイツ・ヴェルルテの「Audi e-gas」精製工場が完成し、本格稼働を開始したことを発表した。この工場で精製した燃料を「Audi A3 スポーツバック g-tron」で使用することにより、CO2ニュートラルな走行が可能になる。

ドイツに「Audi e-gas」精製工場が完成

この設備では、再生可能なエネルギーによって発電された電力「グリーン電力」を使い、まず水を水素と酸素に分離する。水素は水素自動車に使用されるが、水素自動車はまだ広範囲に普及していないため、水素の一部をCO2と化合させてメタンガスを生成する。このメタンガスが「Audi e-gas」だ。

つまり、この設備ではCO2を排出するのではなく、逆に消費する。その量は、年間1,000トンの「Audi e-gas」の生成に対して、約2,800トンのCO2を使用する。これは22万4,000本のブナの木が1年間かけて吸収する量に相当するものだ。また、精製工程で生み出される副産物は水と酸素だけとなっている。他に廃熱があるが、これは隣接するバイオガス工場で再利用される。このバイオガス工場では高濃度CO2が排出され、それが「Audi e-gas」 精製の原料として供給される。

「Audi e-gas」は化石燃料の天然ガスと成分がまったく同じで、既存の天然ガス共有ネットワークを使って搬送される。今年末に発売される予定(日本市場への導入は未定)の「A3 スポーツバック g-tron」による走行時の平均燃費は28.57km/kg以下で、CO2排出量はNEDC基準計測値で95g/km以下。走行時に排出されるCO2のすべてが、精製時に使用されることから、「Audi e-gas」による走行時はCO2ニュートラルとなる。