舞台『盲導犬―澁澤龍彦「犬狼都市」より―』の公開前記者会見が5日、東京・渋谷区のBunkamuraシアターコクーンで行われ、キャストの古田新太、宮沢りえ、小出恵介と演出の蜷川幸雄が出席した。
唐十郎作の同舞台は、1973年の初演で当時の社会情勢を反映しているアジテーション演劇として称された作品。盲人の影破里夫(古田)は、フーテン少年(小出)に"不服従"伝説の盲導犬・ファキイルを探す事を依頼。そこへ、亡くなった夫に初恋の人との思い出をコインロッカーに封印された奥尻銀杏(宮沢)が現れる。盲導犬学校の教師に胴輪をはめられ盲導犬にされてしまった銀杏は、ロッカーの中に現れた南国の海へ消えていく――というストーリーで、東京公演はBunkamuraシアターコクーンで28日まで公演中、大阪公演はシアターBRAVA!で8月3日~11日まで公演予定。
報道陣にオープニングシーンを披露し「ドロドロしてるけど美しい。清潔だけどセクシー」と同作について語る蜷川は、「70年代の舞台は色んな派手な仕掛けがあるので、お客さんはビックリすると思う」と自信を持ってPR。盲人を演じる古田は「“不服従”がテーマなので、それに恥じないようにちゃんと演じて服従しようと思う。綺麗なセリフなので、熱量を感じ取って頂ければ。今の若い人たちに70年代の演劇のスゴさを体感して欲しい」とアピールすると、蜷川演出の舞台出演が2度目の宮沢は、「ドキドキして興奮してます。憧れの70年代アンダーグラウンドの世界に少しでも近づきたいし、どっぷり浸かりたい」と笑顔で意気込みを語った。
古田から"日本最後のアングラ女優"と称されたという宮沢は、「お褒めの言葉を頂いたので、その名に恥じないように愛と切なさを吐き出したいと思います」と意気込み、「蜷川さんを驚かせるにはどうすれば良いか、古田さんに相談してる」と話すと、蜷川は「僕は演出にうるさいイメージだけど、役者に驚かされるのは大好き」と公演に期待を寄せた。また、同舞台では本物のシェパードが出演しており、「シェパードは怖い」(蜷川)、「毛の付いた動物は大嫌い。あいつら落ち着きが無いでしょ」(古田)と語る2人に、「犬くんたちより怖いケモノがいっぱいいるから、犬くんがいると安心します」と苦笑いを浮かべた宮沢。報道陣に夏休みの思い出を聞かれると、「花火大会にハマった事があって、東京の花火大会を全制覇しました」と明かしていた。