既報の通り7月3日、トレンドマイクロは同社の写真管理ツールデバイス「JewelryBox」を発表した。その発表会の模様をレポートしたい。

PCでもっとも多い保存データは写真

最初に登壇したのは、トレンドマイクロ取締役副社長の大三川彰彦氏である。

図1 JewelryBoxを紹介する大三川彰彦氏

トレンドマイクロでは、デジタルライフをより安全に楽しくしていくためのさまざまなソリューションを提供する。これまでも本誌で紹介してきたが、その中でも大きな柱となっているのが、"3D戦略"である(図2)。

図2 トレンドマイクロの3D戦略

デバイスプロテクションは、従来のウイルスバスターなどに代表されるセキュリティ対策製品が該当する。今回のJewelryBoxは、データアクセスに該当する製品となる。そこで、PCに保存されるデータについて、独自の調査を行った(図3)。

図3 PCに保存されるデータの分類

見ての通り、PCユーザーは写真データをもっとも多く保存していることがわかる。その一方で、ユーザーの50.1%が、故障なども含めPC内のデータを喪失した経験を持つ。これに対し、98.7%のユーザーは、自分が撮影したり保存する写真をなくすことを望んでいない。このようなかけがえなのない大切なデータを守るには、どうすべきか?もっとも一般的な方法はバックアップである。しかし、バックアップ行っているユーザーは、わずか30%程度にすぎない。では、安全と快適をどうしたら実現できるのか?そこがJewelryBoxのスタートとなったと、大三川氏は語る。

図4 JewelryBox

カラーは、ホワイト/ブラックの2種類が用意されている。さて、簡単ではあるが、そのシステム要件を紹介しよう。

・OS:Windows XP SP3、Vista SP2、7、8(XP以外は、64ビット版にも対応)。CPUは、7で1GHz以上。メモリは1GB以上。
・スマートフォン:iOS 5.x、6.0、6.1/Android 2.2、2.3、4.0、4.1、4.2
・タブレット:iOS 5.x、6.0、6.1
・テレビ:HDMIポートを搭載した720P以上の解像度のテレビ
・デジタルカメラ:FAT32でフォーマットされたSDカードを利用するUSB接続が可能で、MTP/PTPの通信プロトコルを使用しているデジタルカメラ

有線LAN以外に、Wi-Fiもサポートする。また、タブレットについては、今後対応を広げたいとのことである。

「めんどうくさい」から「かんたん」に

次いで、トレンドマイクロ執行役員の吉田健史氏が登壇し、JewelryBoxの開発の経緯やデモを行った。

図5 吉田健史氏

本誌の読者の多くは、デジカメからメモリカードを取り出し、PCに接続するといったことはそんなに難しくないであろう。しかし、年配の方では、できないといった人も決して少なくないのだ。では、デジカメの写真データはPCにもってこれても、スマートフォンで撮影した写真データはどうであろうか?自分のメールアドレスに添付して送る、枚数によっては同じことを何度も行う必要があるだろう。

それがめんどうで、そのままにしているユーザーも少なくない。こうして、写真データがデバイスのあちこちに分散され、しかもバックアップも行われない状態となる。そして、あの写真を見たいと思っても、どこにあるのかわからなかったり、いちいちPCを立ち上げるのもめんどう、ということになってしまう。まさに「めんどう」と「難しい」という理由から、せっかくの大切な思い出が縁遠いものとなってしまう。

吉田氏は、多くのユーザーがバックアップの必要性は感じつつも、"めんどう"ということからつい後回しにしている現状がある。さらには、バックアップソフトやバックアップの方法を知らないという人もめずらしくはないと指摘する。そこで、セキュリティベンダーとして、この"わずらわしさ"、"めんどうくささ"、"難しさ"を取り除くことができないかを考えたとのことである。たんに、バックアップソフトを提供しただけでは解決策とはならない、その入り口にある障害までを取り除いてこそどんなユーザーにも満足されるものとなる。それを実現したのが、JewelryBoxであると語った。

JewelryBoxの開発にあたり、以下の3点を課題とした。

シンプル&クリーン

整然として綺麗な状態をソフトウェアで実現

ユーザーに余計なことさせない

不要なクリックやドラッグなどを徹底的に検証し、非常に単純な操作体系に

ポジティブサプライズ

使ってみていいな!と感じる体験を提供