帝国データバンクは3日、2013年6月の景気動向調査の結果を発表した。同調査は、6月18日~30日の期間にインターネット上で行われ、1万157社から有効回答を得た。DIは、企業による7段階(非常に悪い~非常によい)の判断に、それぞれ0~6点の点数を与え、各回答区分の構成比に乗じて算出した。

それによると、6月の景気動向指数(以下、景気DI)は前月比0.5ポイント減の42.5となり、7カ月ぶりに悪化。同社は、国内景気について「期待先行による改善が一服し、一時的に足踏み状態となっている」と分析している。

全国の景気DI(出典:帝国データバンクWebサイト)

年明け以降、大企業を中心にアベノミクス効果による景気の上昇が続いていたが、6月の外国為替市場では為替レートが1ドル93円~100円台で変動したほか、日経平均株価も乱高下するなど不安定な状況が続いた。また、輸入品を通じた仕入れ価格の上昇で企業収益を圧迫するなどして、内需関連を中心に全10業界、51業種中36業種が悪化した。全10業界が悪化したのは、東日本大震災が発生した2011年3月以来2年3カ月ぶりとなる。

業界別の景気DIを見ると、「製造」は、前月比0.3ポイント減の40.0で7カ月ぶりの悪化。設備投資意欲DI(前月比0.4ポイント減の46.2)も低下する中、円高期の受注でコスト上昇など収益環境が厳しい一方、回復は太陽光発電など限られた分野にとどまり、12業種中7業種が悪化した。

「不動産」は、前月比1.5ポイント減の47.7で同じく7カ月ぶりの悪化。東北(前月比4.5ポイント増の50.0)以外で悪化する地域が多く、10地域中8地域が悪化した。特に大企業(同0.3ポイント減の51.7)より中小企業(同1.9ポイント減の46.4)の悪化が目立ち、企業規模間で景況感に差が出た。

このほか、「金融」(景気DI44.0)が2カ月連続、「卸売」(同40.1)が8カ月ぶり、「運輸・倉庫」(同41.7)「サービス」(同47.2)が7カ月ぶり、「建設」(同47.5)が6カ月ぶりに悪化。また、「中国進出」(42.8)企業の景況感は、中国経済の先行き懸念もあり前月比0.7ポイント減と7カ月ぶりに悪化した。

地域別では、「東海」「東北」など10地域中8地域が悪化。このうち「東北」は、震災後の人口減少が続いているほか、仕入れコストが上昇した「製造」や燃料価格高騰の影響を受けた「運輸・倉庫」などが悪化した。

帝国データバンクは今後の見通しについて、「実需へと結びつくか正念場を迎えるものの、企業マインドの悪化は一時的なものにとどまり、国内景気は不透明感を内包しつつも緩やかに回復するとみられる」としている。