真木よう子の主演映画『さよなら渓谷』が、第35回モスクワ映画祭のコンペティション部門で審査員特別賞を受賞し、モスクワに渡航していた真木よう子、大西信満、大森立嗣監督が7月2日に帰国。都内で受賞会見を開いた。
芥川賞作家・吉田修一の同名長編小説を、『まほろ駅前多田便利軒』(2011年)の大森立嗣監督が映画化した本作。真木は『ベロニカは死ぬことにした』(2006年)以来、7年ぶりに単独主演を務めた。モスクワ映画祭は、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと並ぶ世界四大映画祭のひとつで、審査員特別賞は最優秀作品賞に次ぐ賞となり、日本映画では羽仁進監督『手をつなぐ子ら』(1964年)以来、48年ぶりの快挙となった。
真木は、本作へのあふれる思いを「去年の夏、撮影した時からずっと思っていましたが、賞が獲れなかったとしても、自分にとってとても大切な作品のひとつです。題材も過酷だし、演じた役も被害者という過酷なものだったので。それを乗り越えられたのは、大西さんたちキャスト、スタッフの方々のおかげです。すでに私にとっては、みなさんに出会えたこと自体がとても光栄でした。だからモスクワで賞を受賞したことは、ありきたりの嬉しいとかの言葉では言い表せられないほどの気持ちです」と語った。
また、真木は、是枝裕和監督作『そして父になる』(9月28日公開)で第66回カンヌ映画祭へ行き、同作でも同映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞しており、「カンヌが初めての映画祭でしたが、そこでも賞をいただきました。でも、これは当たり前のことではない、おごるなよと自分に言い聞かせつつ、光栄なことだし、名誉のあること。自分がこれから仕事をしていく上での自信はもらいました」と力強く語った。また、企画段階から関わり、相手役を務めた大西も「大変な状況の中、製作サイドの思いを背負いながらやってきたので、モスクワで賞をいただいてほっとしています。本当に、邪念のない、映画にとって純粋な現場でした」と語った。
大森監督は「日本映画でこういう規模の作品は今、本当に難しいので、これからも頑張っていきたいと思います」と真摯な表情で述べると、真木も「(受賞は)誇らしいことですし、これはもう自慢して良いと思うので、みなさん、見なければ損です! 是非、劇場へ足を運んでください」と満面の笑みでアピール。『さよなら渓谷』は、有楽町スカラ座他で現在公開中だ。