日本総合研究所はこのほど、同社調査部が取りまとめた「株高による個人消費押し上げ効果」と題したレポートを発表した。

2013年に入った後、実質世帯消費は4月まで4カ月連続で前年比プラスとなるなど、回復基調を維持している。同社はこのような消費回復の背景には、株高による資産効果の指摘が可能だとし、足元の資産効果の大きさと特徴を検証した。

まず、日経平均株価について見ると、5月までの株価急騰に対し、スピード調整の動きが出たものの、足下でも1万3,000円前後と2012年平均株価と比べて約4割高となっている。今後もこの水準を維持した場合、2013年度の実質個人消費を1.5%押し上げると見込んでいる。

株高による個人消費押し上げ効果(2013年度)(出典:日本総合研究所Webサイト)

そして、株価上昇により、家計が保有する資産価値の上昇を背景とした消費拡大が起きる「資産効果」と、株価が景気の先行指標の役割を果たし、景気回復への期待から消費が増える「マインド効果」の2つのルートから、個人消費を押し上げたと分析している。

株価上昇による資産効果については、2013年1~3月期に前年比19兆円、4~6月期には45兆円に上ると試算。世帯レベルでは、株式保有高の多い高所得層において顕著になっている。

マインド効果については、株式資産の少ない世帯を含む幅広い世代でマインドが改善し、消費押し上げに作用すると解説。株価と消費の関連性を見ても、世帯主年齢20、30歳代で他の年齢層を上回る感応度となっている。これは、教育費や住宅ローン負担を抱える40歳代、50歳代と比較すると、外食や教養娯楽などへの支出比率が高く、マインドによって消費支出が変動しやすいためだという。

品目別の押し上げ効果を見た場合、レジャー関連財・サービスや、身のまわり品などのファッション分野の株価弾性値が高い。具体的には、温泉入浴料、ゲーム機、映像・音楽ソフト、装身具、ガソリン、タクシー代、パック旅行費、外食(ファーストフード除く)などとなっている。

金額ベースの押し上げ規模が大きいのは、ガソリンの3,900億円、旅行(パック旅行費)の2,900億円、音楽・映像ソフトの1,100億円など。それに対して、「株高による資産効果」でよく話題になる絵画・宝飾品などは、単価は高いものの市場規模が小さくマクロの消費押し上げ効果は小さいとし、ドライブ、旅行、温泉、外食など、外食機会の拡大の方が個人消費への影響は大きいと分析している。