デジタルオーディオプレーヤーやスマートフォンの普及とともに、近年非常に盛り上がりを見せているイヤホンやヘッドホンの市場では、ユーザーからの多様なニーズに応えるため、手軽に入手できるリーズナブルな製品をはじめ、ファッショナブルでコストパフォーマンスにも優れた製品、各種制作業務などでも使用できる質実剛健な製品、オーディオマニアをも唸らせるサウンドにとことん拘った高級品など、実に多種多様な製品がリリースされている。今回は、そんなバリエーション豊富なイヤホン&ヘッドホンの中から、もはや嗜好品の域に達するような驚きの超高額&マニアックなヘッドホンおよびイヤホンをまとめて紹介してみよう。
AKG K3003(実売価格:12万5,000円前後)
AKGが誇るカナルイヤホンのフラッグシップモデル。同社がプロオーディオの分野で培った最先端の音響技術を投入し開発された本製品では、高/中/低域を3つのドライバーを用いて再生する3ウェイ方式を進化させた3ウェイ・ハイブリッド・テクノロジーを採用。また、メカニカル・チューニング・フィルターの交換により、接続する機器や音楽の特性に合わせ、好みの音質に微調整が行えるようになっている。主要パーツは高精度なステンレス製となっており、まるで高級大型ヘッドホンを聴いているかのような、サイズを超えた最上級のサウンドを実現してくれる。なお、製品出荷時には、厳密な品質検査が全数実施され、その検査の合格を証明するシリアルナンバープレートも同梱されるとのこと。
STAX SR-009(実売価格:35万円前後)
コンデンサー型ヘッドホンの有名メーカーSTAXによる、エレクトロスタティック・イヤースピーカー。ダイアフラムには、低域から超高域まで極めて優れた周波数特性と広大なダイナミックレンジを達成する高分子極薄フィルム素材「スーパーエンプラ」を採用し、繊細にして重厚に楽曲にこめられた多彩なイメージを表現可能としている。本製品はコンデンサー型ヘッドフォンの構造上、一般のヘッドフォン端子に直接つないで使うことができず、同社SRMシリーズなどのドライバーユニットと組み合わせて使用する。なお、ユーザー登録が必須となっており、外箱に貼付された「保証登録請求用紙」を返送することによって正式な「保証書(1年間)」が送付される。
ULTRAZONE EDITION10(実売価格:22万円前後)
プレミアムなサウンドとデザインで多くのファンを持つULTRAZONE editonシリーズの上位モデルとして位置づけられたダイナミック開放型ヘッドホン。蝶の紋様をモティーフとした美しいデザインが目を惹くイヤーカップは、高級車の内装や楽器などにも使用される天然木"ゼブラーノ"を採用し、一つひとつハンドメイドで仕上げられている。新開発の40mmチタンプレイテッド高能率ドライバーは、開放型に最適化された音圧を実現する。有害な低周波電磁波を98%低減する"ULE"機能も搭載。さらに、2013年7月には、editionシリーズ開放型第2弾となる最新モデル「ULTRASONE edition12」も発売予定となっている。
final audio design Piano Forte X(実売価格:20万円前後)
final audio designは、高いサウンドクオリティと独特のボディーデザインでも知られる新進気鋭の国内メーカー(2009年より同ブランドでのイヤホン販売を開始)。同社ダイナミック型イヤホンの最上位モデル「Piano Forte X」シリーズでは、美しい振動減衰特性を持つクロム銅を削り出した高剛性筐体に加え、イヤーパッドにも筐体一体型切削加工による金属製パーツを採用。自社開発された超大口径ダイナミック型16mmドライバーユニットを重量のあるボディーで直接保持することで不要な共振を極限まで抑制し、従来ホーン型でしか得られなかった濃密でリアリティのあるサウンドを実現する。イオンプレーティング仕上げの「Piano Forte X-CC」と、ゴールドメッキ仕上げの「Piano Forte X-G」の2タイプがラインナップされている。
今回紹介した製品のうちの多くは、イベントなどでの試聴といった程度で、恥ずかしながら筆者にとってもまったくの未体験ゾーンといっていい製品ばかりである。1台のヘッドホン&イヤホンが10万円を軽々と越えていく世界は、正直なところ憧れと共にただ驚かされるばかりといった印象だ。皆さんも、これを機にハイエンドなヘッドホン&イヤホンの世界に興味を持っていただけたなら、オーディオショーなどのイベントに参加していただき、その未知なるサウンドをぜひとも体験してみてはいかがでしょうか。
内山 秀樹(uchy)/ウチヤマ ヒデキ
ライター/サウンドクリエイター/ITコンサルタント
10代の頃より、楽器メーカーの製品開発やインストラクションなどに参加。既存の製品にも多くのコンテンツなどを提供する。現在はフリーランスとして、PC誌/音楽誌への執筆活動をはじめ、作曲、編曲、WEBプロデュース、ITコンサルティング、ゲームサウンド製作、学校講師など多岐にわたる幅広い活動を展開中。