3Dプリンタを導入して自社でモックアップを出力
同社は普段アプリケーション開発を中心とした企業であることは冒頭で述べたが、「enchantMOON」開発のために、3Dプリンタを購入してモックアップを自社で作っていた。見せていただいたモックアップは現在のデザインとかなり異なる。当初の案では、ペン入力を容易にするための傾斜は筐体の厚みで実現していたが、安倍のすすめでハンドルが搭載され、現在の姿となった。同氏は筆圧調整のテストにも協力しており、「漫画のネーム制作」に使いたいとコメントしていたとのこと。
パッケージにこめられた開発者たちの想い
こうして、まもなく世に送り出されようとしている「enchantMOON」だが、当初は年間で1,000台程度の売り上げを想定していたとのこと。しかし、蓋を開けてみれば予約開始からわずか1時間で、年間の予想売り上げ台数をあっさり超えてしまった。新規コンセプトのガジェットとしては手ごろな価格設定も後押しし、20~30代の男性を中心として、当初目標の3倍以上の予約申し込みがあったという。それだけ、この製品のコンセプトや機能に期待が高まっているということだろう。
最後に、機体が収められるパッケージを見せていただきながら、「enchantMOON」という名前の由来を伺った。月という天体は自らは発光しない。つまり、「使い手の思考を反射してはじめて輝くツール」というところからこの名前が決まったそうだ。enchantMOONのパッケージには、東が選定した「Don't you wish you were free?」(自由だったらいいな、と思わない?)という言葉が記されていて、開発者たちの熱い想いが静かにこめられている。ちなみに、端末名の決定に関する詳細なストーリーは、同社の清水亮社長のブログに記されている。
なお、「enchantMOON」予約分の発売日は7月7日で、この日から第3ロットの予約受付も開始されるという。「手書き」に特化したUIと「プログラミング言語」というふたつの特長を併せ持った"未来のガジェット"に興味を惹かれた人は、予約を検討してみてはいかがだろうか。